市民活動の源流-2-

神戸から(中)


仮設住宅に「助け合いネット」
転居進みケアの維持懸念

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ボランティアや自治会活動の拠点として
建設された「ふれあいセンター」

なお9千200人が仮設暮らし

 震災後、神戸市内には29,178戸の仮設住宅が建てられ、多いときで約2,800世帯がそこで暮らした。あれから4年、仮設住宅はまだ残り、昨年11月末現在9,249人が仮設暮らしを続けている。多くの被災者が恒久住宅に移る中、新たな問題も出てきているようだ。東灘区住吉公園内の仮設住宅で活動するNPO「東灘助け合いネットワーク」(武田純子代表)を訪ねた。

 JR住吉駅から徒歩10分、閑静な住宅街の中、突如として「助け合いネット」が拠点を置く仮設住宅の団地が現れる。この団地ではいまも、約40世帯が生活している。助け合いネットは震災の2週間後、有償ボランティア団体「神戸ライフ・ケアー協会」元理事、中村順子さんら地元のボランティアを中心に結成。これまでの活動の積み重ねやほかの市民団体とのネットワークを生かし、被災者のケアやボランティアの手配をした。現在も、仮設住宅訪問や高齢者、障害者の外出介助を行っている。

 最初の事務所は幼稚園。病院の駐車場、区役所の中庭と区内を転々とした。しかし、この事務所も3月いっぱいまで。ほか仮設住宅と同様、ここも3月末で使用期限が切れ、撤去されてしまう。殿本弘副代表は「今、神戸では多くの人が恒久住宅に移っている。仮設ではボランティアが多く、弱者へのケア密度が濃かったが、新しいコミュニティーではそれを維持できるのか」と懸念する。

 仮設住宅団地は、高齢化社会を先取りした。そこでの高齢者の割合は3割を超える。この数字は神戸市平均の倍以上。この偏った年齢構成でも、市やNPOの支援で、ある程度のコミュニティーを形成したが、恒久住宅への移転でまたやり直しとなる。市生活再建本部の高橋正幸自立支援課長も「コミュニティーづくりとは本来、住民自身がやるべきこと。仮設暮らしのときは、ふれあいセンターの設置など支援できたが、『これ以上はいいのでは』という声も出ている。恒久住宅の方が難しくなる」と認める。

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活動を終え、事務所内で昼食を取る
助け合いネットのメンバー

「福祉のまちづくり」に活路

 また、高齢者世帯の60%が単身世帯。ボランティアや市の相談員が巡回しても“孤独死”という問題があった。「仮設での孤独死はセンセーショナルに報道されたが、仮設だから孤独死が多いというデータはない。孤独死は震災問題ではなく、少子・高齢化を迎える日本の“社会問題”なのです」(高橋課長)。

 震災後、神戸にできた多くのNPOは過渡期を迎えている。日々薄れる震災への関心、資金確保の問題、ボランティア自身の疲労感…。助け合いネットは「福祉のまちづくり」にその活路を見いだす。「新しい福祉のまちのモデルを神戸につくりたい。それが全国の支援者に対する恩返しになる」(殿本副代表)。4月から、阪神御影駅前にある家賃月6万円の事務所に移転して、活動を続ける。(年間キャンペーン取材班=本田裕一) (99.1.4)

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<NPOとは(1)>
 Nonprofit Organization。直訳すると非営利組織。自治体や公団も非営利組織ではあるが、NPOは民間の組織であることを前提とした意味。逆に、町内会やボランティアグループもNPOとは言えるが、非営利=無償のボランティアではない。NPOが持つイメージは、社会的使命を果たすために有給の専門スタッフを抱えた自主組織で、収益を挙げる事業はするけれども、経費を除いた黒字を自分たちで分け合うことはしない、ボランティア精神を持つ人たちのグループが発展した組織、と言える。こうした組織に法人格を与えるNPO法(特定非営利活動促進法)が、1998年12月1日に施行された。

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