十勝での息吹-2-

オーディナリーサーヴァンツ


地域に育てられる団体に
介護認定外れた人の世話も

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「いと小さき者たちの家」でくつろぐ
お年寄りたち。法人取得で新たな
活動の光も見えてきた

周囲が寄せる“視線”に変化

 「NPO法人になり、現場で変わったことは特にない。法人名義で通帳が作れたことと、会計士と税理士をお願いしたくらい」。浦幌町で、何らかの理由で自宅での生活が困難な人が専門職のスタッフと共同生活するグループホーム「いと小さき者たちの家」。施設長の五十嵐友子さん(32)は、屈託のない笑顔で話す。夫の博さんが理事長を務める、運営母体のオーディナリーサーヴァンツが法人の認証を受けたといっても、同施設は、今も以前と変わらぬ活動を続けている。

 しかし、周囲が寄せる“視線”は、確実に運営面でプラスの方向に動きつつある。「法人になったことで、公的にはっきりと位置付けされた。財政支援もしやすい」と、出村和仁町保健福祉課長は“法人格”のメリットを強調する。

 現在、オーディナリーサーヴァンツには、5人の入所者と、虚弱老人や痴呆など20人ほどの通所者がいる。痴呆の度合いは軽度から重度までさまざま。約十畳の居間に毎日数人が集い、スタッフと昔話をしたり、テレビを見たりしながら一日の大半を過ごしている。

 同施設の入所費用は一カ月75000円、通所は昼食と送迎で600円、2食と送迎で1000円など。収支は月によって上下するものの、常に赤字。例えば今年2月分で見ると、21万1910円の収入に対し、41万225円の支出と、19万8315円のマイナス。「1カ月間で人件費分が丸々赤字」(五十嵐さん)の状態で、この解消が一つの課題となっている。

認証があればこその支援

 町では六月議会に向け、単年度ながらグループホーム事業運営に対する委託契約を結ぶ準備に入った。十勝支庁を通じ道に口頭で補助を打診しており、認められれば、道と町合わせて500万円の補助金が下りる可能性が出てきた。NPO法人の認証があったからこその支援だ。「ありがたい話。資金が満たされれば、いい意味で既存施設と介護の質を競い合える」(五十嵐さん)。

 また、社会的信用が向上することで、預ける側(入所側)の安心感がさらに増すという声も、行政、家族双方から聞こえる。過去に、預ける側の親せきが「特別養護老人ホームのような公の立派な施設があるのに」と難色を示すケースもあったからだ。

あわてずにゆっくり歩む

 「私たちは、あわててみんなに分かってもらおうとは思っていない。今、中心商店街で活動をしていて、いろいろな人に支援していただいている。そういった人たちとともに実践し『NPO法人とは、こういうものだったのか』と分かってもらい、地域全体で育ててもらえるような“市民の”団体になりたい」。五十嵐さんは明るく、しかしはっきりと言い切った。

 オーディナリーサーヴァンツはグループホームの運営と同時に、介護認定で漏れたお年寄りの世話を目指す。高齢化社会がさらに進み、2000年4月、介護保険制度が始まる中で、NPO法人として管内初となる介護サービスの試みに今、大きな期待が寄せられている。  (年間キャンペーン取材班=植木康則) (99.6.3)

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<メモ>
1998年8月設立。五十嵐博理事長。福祉団体として「いと小さき者たちの家」でグループホーム事業を行う。入所者5人、通所者は20人程度。会員数は10人。浦幌町寿町8ノ1。
電話・ファクスは01557(6)3444

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