市民活動の源流-11-

函館から(下)


西部地区の歴史的町並み再生
基金の助成受け実現目指す

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古い住宅が残り、極端に高齢化が
.進んでいる西部地区

 「函館は30万人が住んでいながら都市としてのコミュニティーも都市機能もない。文明開化の時代やニシン漁が栄えたころはそうした繁栄もあったと思う。それを都市のデザインによって現代に移し替えていきたい」。函館・西部地区でコーポラティブ住宅(コープ住宅)の建設を検討している「西部地区群居ワークショップ」の小澤武代表(地元建築家)は話す。

 同ワークショップは98年度、公益信託「函館色彩まちづくり基金」の助成対象団体に選ばれた。人口が極端に減り、高齢化が加速する函館の西部地区に、同地区居住を希望する人たちで組織(協同組合)をつくり、一定区画の戸建てや集合住宅を建設しようという試み。地域住民との間でさまざまな意見交換をしている。

協同組合方式で住宅建設

 「コーポラティブ住宅は当初大都市で検討されたもの。大都市には土地がないことでデベロッパーが開発した一戸建てやマンションを購入するしかなかったが、特定地域に住むことを希望する人を集めて協同組合方式で土地を所有し、建築家と住民希望者との協議で自分たちが求めているコミュニティーを形成しようという住宅建設構想が約20年前に始まった」と小澤代表は説明する。

 これを函館の歴史的な町並みを持つ西部地区で実現させようというのが群居ワークショップの狙いだ。  実は、この地区の開発は市にとっても難しい問題になっている。まちづくりグループ「元町倶楽部」にも参加している市住宅課の山本真也計画係長は「函館は4大地主と呼ばれる人たちがまとまった土地を持っていたことがある。これにバブル期の地上げが横行したことにより、所有権が複雑化した。借地借家、借地持ち家、持ち地借家といった三形態が入り交じり、再開発できない状態」と話す。

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コーポラティブ住宅の構想を
語る小澤代表

都市型コミュニティー形成へ

 さらに、一戸平均30坪という狭い土地だから駐車場も確保できず、道すらも通せない。このため若い人は郊外に移転し、古い住宅が残り高齢化が極端に進んだというわけだ。「西部地区はダイナミックな変化ができない。また行政の施策もそこまで至らないのが実態だ。変化を起こすとすれば、一部の意識ある人が集まって再生へのきっかけをつくってくれること」(山本係長)と、市民活動への期待感は強い。

 小澤代表は「函館の情景とコミュニティーをどう組み合わせるかが課題。土地の問題はすぐには解決できず、市所有のまとまった土地を視野に入れている。あとは西部地区に住むことを希望する人がどのくらいいるかだ」と、具体化に意欲を示す。そして、「具体化に伴って都市型のコミュニティーができれば、まちが活性化する可能性は十分にある」と強調している。

 また、山本係長は同ワークショップの計画について「自分たちのまちを自分たちの手に収めるというまちづくりの発展がコーポラティブ住宅であると思う。具体的になれば行政としても支援していきたい」と話す。

 函館の歴史的町並みの再生をめぐって、市民活動と行政のパートナーシップが動き出した。  
(年間キャンペーン取材班=道下恵次) (99.1.14)

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<NPO法の問題点>
 民間団体が強く求めていたにもかかわらず、法に盛り込まれなかったのが、特定非営利活動法人(NPO)への寄付に対する税制優遇措置。アメリカの場合は、例えばある企業が100万円をNPOに寄付したとき、100万円にかかる税金が控除される。NPO活動の重要な財源となる寄付が、税制優遇によって集めやすくなるが、日本ではまだそれが認められず、NPO法の課題といわれている。

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