「いち早くチャイルドプラン」

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ニーズ把握など難しさも

音更町は十勝管内でいち早く「チャイルドプラン(エンゼルプラン)」を策定し、一九九七年四月から少子化対策事業に取り組んだ。しかし、計画は必ずしも順調に進んでいるとはいえない。工藤晴夫・町児童福祉課長(51)は「昨今の町の財政的な厳しさや、今後の住民ニーズがどうなるか不透明な部分もあり、検討中の(少子化対策の)問題もある。若干、計画よりも遅れているとは思っています」と語る。

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「民間の保育所と協議して今後のゼロ、一歳児保育の方針を検討していきたい」と語る工藤課長
同プランは(1)すこやかに子どもを育(はぐく)む町(2)安心して子育てできる町−の二本柱からなり、特に(2)の問題は同町の公立保育所が民間に比べて、サービス面などで立ち遅れているという問題も重なり、一石二鳥の効果が期待された。つまり母親が働きやすい環境など、子供を安心して預けられる施設の整備だ。ほかにも母親の育児不安軽減を図るなどが目的の子育て支援センターなども計画に盛り込まれた。しかし、町内の保育所の老朽化などもあり、計画の優先順位は保育の側に置かれた。

まず延長保育導入

その具体的施策として、できるものから始めようと、本年度から朝、夜の延長保育を町内の八常設保育所(町立)でスタートさせた。父母から希望を取り実施した。  延長を希望する人は今年四月時点で、朝を三十分早める希望者が四十五人、夜の三十分延長が七十四人いた。「かなりの反響があった。音更の場合、町民のほとんどが帯広など町外に勤務地があり、三十分早め、さらに延長したことは、かなり好評だった」と効果を力説する。

しかし、今後、共稼ぎ世帯が増え、需要が増すであろう、ゼロ、一歳児の保育に関しては難しい問題をはらむ。現在、ゼロ歳児は町の補助を受け、親などが運営する民間の乳児共同保育所で対応しているが、施設が手狭で、受け入れ数に制限があるなどの問題を抱える。また、一歳児は一部の常設保育所でしか受け入れを行っていない。


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延長保育をスタートさせた常設保育所(写真は緑陽台保育園)
「今後、ゼロ、一歳児のニーズが増えてくることは予想されます。将来的には町で抜本的な方針を示さなければならないと思っている。ゼロ歳児は国の基準だと三人に一人の割合で保母をつけるとしているが、現場の声を聞くと、二人に一人は必要という。現在の常設保育所でやるには保母のかなりの増員など、思い切った施策が必要になってくる。しかし、もし町で実施して、預ける人がいなければ困りますし、あくまでも今後の住民ニーズを見ながら、慎重に方針を出していきたい」と語り、今後の課題と位置づける。

財政事情も背景に

自治体行政としては現在のニーズにこたえて施策を進めるのは実施しやすい。しかし、将来のニーズを考慮しての施策はリスクを伴うだけに、どうしても慎重になり、後手に回りやすい。さらに「厳しい自治体の財政事情」の昨今ではなおさらだ。行政の少子化対策を実行することの難しさは、そこらへんにあるのかもしれない。(年間キャンペーン取材班=竹村浩則)


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