「社会全体が意識改革を」

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子育て支援センター、役割に注目

道青少年育成協会(札幌)が初めての研究プロジェクトとして今年度、取り組んでいる「地域子育て支援センターの研究−実態と課題−」。そこからは子育てに対する母親たちの戸惑い、悩みとともに、行政の子育て支援策に対する強い期待がうかがえる。研究プロジェクトの代表を務める伊藤則博道教育大旭川校教授(59)は、こうした支援センターの可能性について早くから注目してきた一人だ。

子育て支援の拠点に


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地域子育てセンターの役割と十勝の今後の可能性に期待する伊藤教授

地域子育て支援センターは、核家族化の進む社会を背景に、地域における子育て家庭の支援を行う拠点として位置付けられ、国のエンゼルプランの「緊急保育等五カ年事業」の中で、一九九九年度末までに全国三千カ所の設置を目標としている。帯広市は道内で唯一、国のモデル事業の指定を受け、九三年に一足早く事業を開始。その後道内では、道のエンゼルプランの制定に伴い、九五年に十カ所、今年四月現在までに計三十二カ所が設置された。

実情把握のため行われた今回の調査では、支援センター三十二カ所の現場担当者、利用者(母親)、行政担当者の三者にそれぞれアンケートを実施。調査票を九月に送付、利用者からは直接送り返してもらい、それ以外は七人の共同研究者が分担して直接現地に赴き、面接調査することで“生の声”が浮かび上がってきた。

専業主婦に育児不安

まだ調査が終わったのみで、分析、報告はこれからという段階だが、気付く点はいくつもあるという。まず第一に支援センターへのニーズが非常に高いという点。「現在子育てに一番悩んでいるのは、社会参加していない専業主婦というデータもあり、育児不安が強い。地域で身近に子育てをしている人がいないという状況は田舎も都市も変わらず、若いお母さんは孤立化している」と指摘する。一方で、提供者側である支援センターの悩みにも直面した。「どのセンターでも熱意を持ってやっていると感じたが、幅広いニーズにこたえるためにも、研修システムの確立が急務。担当者同士の横の交流も必要では」

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帯広市子育て支援システム実行協議会で今年7月からスタートした「ぴよぴよ広場」も好評だ

課題が山積する中、早くから構築されてきた「帯広市子育て支援システム実行協議会」は全国でも軌道に乗っている例と評価する。つばさ保育所内に置かれた事務局を核に、公立私立の保育所二十七カ所のほか、帯広市や幅広い関係機関と連携を取った官民一体のシステムは、独自のものだ。「将来はこうしたシステムを帯広市を中心に広げて、十勝圏域で連携的なシステムができていくのが理想では」と、先進地帯広の今後に期待する。

「あくまで対症療法」

行政の少子化への本格的な施策はまだ始まったばかり。中でも期待が集まる支援センターだが、「センターが仮に目標の全国三千カ所できたとしても、日本の少子化はくい止められないだろう。あくまでも対症療法の一つでしかない」と言い切る。「それよりもむしろ日本人の意識が高度成長期に“唯物論”になってしまったことが問題。子供を産み、育てるという営みまでが経済原則の中に組み込まれてしまっている」と、親とそれを取り巻く社会全体の意識改革に強い期待を込める。(年間キャンペーン取材班=小関伸子)


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