「内需減と経済規模縮小懸念」

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企業の財務改善が先決課題

「少子化は人口問題として考えなければならない。そして人口問題を見るならば、国内の人口が減少することによって内需減による経済規模の縮小、税収減による財政の悪化、働き手の減少に年金破たんなど深刻な問題が顕在化してくる」。北海道経済連合会の岡部三男専務理事(61)は少子化が及ぼす経済的影響をこう切り出す。


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「少子化は人口問題としての意識を」と訴える岡部専務

「世界の人口は昭和三十年代から比べると二倍の異常な増え方だが、日本は減る傾向。例えば、日本の出生率が今後一・四台で推移したとして、数字上では現在の人口一億二千万人は二〇五〇年に一億人、二一〇〇年には七千万人を割り、五百年後には限りなくゼロに近づくことになる」。これを経済に結び付けると、「経済はある一定規模の内需がないと停滞する。特に産業立国では内需がなければならない」と人口減少に伴う内需縮小に強い懸念を示す。

人口減(少子化)の要因については(1)シングルライフを楽しむ若者の価値観の変化(2)教育費の重荷(3)女性の社会進出−の三点を指摘。その上で「若者の価値観を変えろといっても無理な話だが、教育問題や女性の社会進出に伴う保育制度の確立は政治の施策として取り組むことができる」と強調し、経済に密着している人口問題への政治的対応、社会基盤の整備が対策として急務−と訴える。

また、人口問題は食糧問題に発展し、いずれ食糧問題は農業に行き着く。「こうした長期的な考えに立つならば北海道農業への期待は高くなる。経済界としてもこれをしっかりと認識しながらトータル議論を展開しなければならない」と力説する。

地元経済界の藤本長章帯広商工会議所副会頭は、将来的な生産人口減少と老齢人口増加に伴い、企業内の雇用情勢が微妙に変化することに戸惑いを示す。労働基準法、厚生年金法の改正、介護保険法の導入など国の法改正が来年以降次々に押し寄せてくるからだ。

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「少子化社会が企業の財務改善を求めている」と語る藤本副会頭

「特に、企業にとって大きなウエートを占める年金制度の改正は負担増加となる動きがあり、企業は大幅な財務体質改善を求められる。これは企業内の雇用形態の見直しをも迫っているということだ」と語る。

従来の雇用制で会社の社員平均年齢が高くなれば、給付負担は大きくなる。だが、雇用補償をベースとしながらも待遇は業績に見合う考え方(業績スライド制)など多様な形態で企業のスリム化をしなければ、年金の負担増が企業体力を圧迫する時代になる−とイメージしている。

着実に少子化社会に進む中で、「少子化社会、働き手が少なくなるという本番を前に、先決課題として企業の財務改善を片づけなければならない。これは規模の大小、地域を問わず同じことだ」と強調する。

生産人口が減る一方で、高齢者が増える社会現象が、じわじわと十勝の企業にも派生している事態を地元経済界は重く受け止めている。(年間キャンペーン取材班=道下恵次)


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