「若者の結婚感」

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人生体験を分かち合う〜自分の子供へ明確な思い

ヤコブ・コフォードさん(27)とリセ・ブンゴードさん(24)はコペンハーゲン大学で法律を専攻する大学院生で恋人同士。コフォードさんは弁護士を、ブンゴードさんも弁護士か外交官を目指している。「2人がもし希望の仕事に就くことができたら、忙しくて、なかなか家庭の時間が取れないかも」としながらも、子供のことに話がいくと、「将来は、3人以上は欲しい」と話した。


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「子供は欲しいと思っている。でも、自分の人生に重ね合わせ、一番いいときに産みたい」と話すブンゴードさん(左)、コフォードさん(中)、ソーレンセンさん
“後ろ向き”の日本

十勝管内の福祉課題を調査研究する十勝福祉塾が今年2月にまとめたアンケートによると、高校生男女の大半は「将来、子供は欲しい」と考えている。しかし、「欲しくない」と答えた中で、一番多かった理由は「子供が嫌いだから」というものだった。成人を含め3,400人余りを対象に行った結婚に関する調査では「自由な時間(お金)がなくなるから結婚はしない(したくない)」という回答が男女とも半数を超えた。これらの調査を見る限り、結婚や育児を“後ろ向き”にとらえる日本人像が浮かび上がる。少子化は、日本人の、特に若い人たちの家庭を持つことに対する「意識の変化」の表れではないだろうか。

早くから人生設計

「年をとったときに隣に人がいない、自分がお母さんやおばあちゃんにならない人生は想像できない」(ブンゴードさん)、「息子ができたら、サッカーや釣りをしたい。人生の体験を分かち合うのはどんなにか楽しいことかと思うんだ」(コフォードさん)。デンマークの若い世代の2人は「自分の子供を持つことへの思い」を明確に持つ。仕事など子育ての障害はあるが、あとは気持ちの問題だと思っている。

デンマークの若者は就職や進学に関係なく18、19歳で親元を離れ、独立する。このためか、自分の人生設計を早くから考えるという。

結婚と育児は別

日本との大きな違いは結婚と育児を分けて考えていることだ。2人の友人、メッテ・ソーレンセンさん(24)が「自分も今、33歳の恋人がいますが、2人の間で話すことは結婚のことではなく、もし子供ができた場合、どのように育てていくかということです」と話す。95年の統計でデンマークの総出産数のうち46.8%が「婚外出産」。日本のような結婚−出産という図式はない。

しかし、ソーレンセンさんは言う。「結婚をしないのも、仕事や自己実現を優先したためであって、子供が嫌いだからというわけではないんです。デンマークはほとんどが計画出産で、自分の人生で一番、産むべきと思うときに産んでいるです」

デンマークも日本と同様、初産年齢が年々上昇している(95年で女性27.5歳、男性28.9歳)。女性の大半が仕事を持っているためと考えられている。しかし、デンマークは出生率が伸び、逆に日本は低くなっている。背景に「子供」と「自分」のとらえ方の違いがあるからではないか。

少子化が進む日本は今、特に若い世代において子育てを見詰め直す時期なのかもしれない。(年間キャンペーン取材班=猫島一人)


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