「夫の協力」

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家事も含め夫婦“平等”〜子供は一緒に育てる

日本の場合、子育てに負担を感じている母親は多いのではないだろうか。「夫は仕事から帰るのが遅くて、子供のことまで気が回らない。休日になったら、疲れてずっと寝ているし。しょうがないとは思うんだけれど…。だから育児が大変。たくさん子供は欲しいが、多くても2人が限界かな」。以前、十勝の子育てサークルに集う母親から聞いた声だ。夫の協力がなかなか望めない。産みたいが産めない−。夫婦に育児分担のアンバランス感があり、少子化社会の表す一つの現象にまでなっている。


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2人の子供を囲むギッテさん(左)、ラースさん夫婦
「子供は夫婦で一緒に育てていきたいんだ」と、ラース・マッセンさん(33)は妻のギッテさん(31)を見つめながら、笑った。「もし、彼女が働きに出るのなら、僕が育児や家事をしてもいいんだ」とも言った。

「仕事優先はだめ」

2人は1993年に結婚。最近、長女のリアちゃん(3つ)と長男のラッセ君(10カ月)とともに、コペンハーゲン郊外にあるゲントフテ市に一軒家を購入し、移り住んだ。2人とも童話作家アンデルセンの故郷、オーデンセ市出身。「恋人になったのは15、6歳だったかな」。ラースさんは専門学校、ギッテさんは工科大学を卒業し、そのまま就職。結婚して2年後にリアちゃんが生まれた。

今、ラースさんは医療用具の開発会社に勤務しており、仕事が終わると、自転車で保育所に子供を迎えに行くのが日課だ。家では子供たちをおふろに入れたり、ご飯を食べさせたりという育児が待っている。そのほか、家が古いため、配線設備を整えたり、ペンキを塗ったりと修繕の日々が続いているという。

ギッテさんは事務員として働いていたが現在は育児休暇中。「家庭のことはなるべく分担しています。一つ言えるのは、日本のように、仕事を優先する男性はデンマークでは受け入れられない。私も家事や育児を手伝ってくれない男性と結婚したくないわ」と言い切る。

実は3人目の子供がギッテさんのおなかにいる。来年3月に出産の予定。でも、出産、育児休暇が終わったらすぐに職場に復帰したいと思っている。デンマークは女性の社会進出が進んでおり、日本のような「専業主婦」という言葉はない。だから、男性の理解や協力は日本とは違ってくる。ラースさんが「彼女の人生なんだから、何事にもチャレンジしてほしい。家のことは自分がやればいいことなんだから」と言うのは、デンマークの男性としては当たり前のことなのだ。

男性が握る解決糸口

夫婦の間には生活のすべてに置いて、可能な限りの“平等”がある。育児にしても、どちらかに負担がかかるということにはならないし、女性にとってはそれだけ子供を産みやすくなる。少子化解決の糸口は、男性が握っているともいえるのだ。

最近、日本でもやっと男性の育児が論議されるようになってきたが、一方で96年の調査で育児の担い手として「妻」と答える夫が全体の70%に上っており、依然、「男は仕事、女は育児、家事」という考えが根強い。デンマークの夫婦から見ると、それはとても奇異に見える。(年間キャンペーン取材班=猫島一人)


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