育児サポートシステム

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子育てを地域ぐるみで

「兄弟がいない子供には、母親は兄や弟の役目もしなければならない」。帯広市内の育児サークル活動に顔を見せる弘美さん(38)は、長男(1つ)をあやしながらこう語った。言葉を返せば、少子化時代は母親の負担を大きくすることを物語っている。

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芽室町の子育てサポートシステム説明会。少子化社会を支える地域の取り組みはスタートしたばかりだ
管内初、芽室町に誕生

芽室町では先月27日、育児サポートシステム「育児ネットめむろ」が発足した。行政が主体となって個人の家を使用し、会員相互で育児を助け合う管内初のシステムだ。発足前、2日間にわたって開かれた説明会には延べ80人余りが集まり、少子化傾向を地域で支える同システムの関心の高さをうかがわせた。

4児の母の薫さん(34)はサポートする側、される側の両方に会員登録するつもりで説明会に臨んだ。「4人育ててきて母親の気持ちが理解してあげられる」という理由から、「一番下の子供が手を離れてきたこともあって、ちょっと手の空いた時間に見てあげられるのと、逆にこちらが見てほしいときもある」とシステムの活用に積極的に参加することを決めた。

薫さんは1年前に帯広から町内に引っ越してきたばかり。システムに参加し交流の輪を広げたいとも思っている。

独身の男女も参加

同じく説明会に参加した正枝さん(34)は2児の母。「病気で手術をしたとき、子供の面倒を見てくれる人がいなくて大変な思いをした」との苦しかった経験がある。だから「そうした苦労を持つほかのお母さんと助け合いたい」との思いを強くしている。

一方で「周りに同じような子供を持つ母親はいるが、お互いに干渉しない時代。公園で遊ぶ子供も少なくなっている」と感じている。だから、システム参加を通して大勢の人との触れ合いを持ちたいと願っている。

説明会では、女性を中心にさまざまな年齢層の人が集った。その中に、独身の男女の姿があった。瞳さん(23)は男性の友達とともに説明会に参加した一人で、「いずれは私も子育てをするときがある。そのために学ぼうという気持ちで参加した。できればサポートしたい」と語る。

「リフレッシュは必要」

システムの運用に当たって、同町保健推進係の江口久子係長は「一時的に子育てから離れることは決して『逃げ』ではなく『リフレッシュ』だ。幼児虐待という問題も何も特別な母親がするわけではない。まじめに子供と向かい合っている母親が起こしてしまうことが多い。母親自身のために、そして子供がよく育っていくためにも子供と“新鮮”に向き合うためのリフレッシュは必要」と強調する。

少子化時代に生きる母親を見詰めて江口係長は「結婚しても自分らしくというのが今の母親像かもしれない。やりたいことはどんな条件でもやりたい。だから、習いごとや自分を高めるために出掛けたりしているのではないか」と率直に感じている。

こうした現代の母親を支援するためにも、芽室町のサポートシステムは、地域ぐるみで子育てにかかわる重要な取り組みとして注目される。システムがしっかり根付いたとき、取り組みの意義が改めてクローズアップされるに違いない。(文中一部仮名)(年間キャンペーン取材班)


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