転換期迎える学習塾

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「合格至上主義」から脱皮〜みんなが楽しく学べる場に

少子化は、学習塾の在り方を変えようとしている。全国では今年の短大受験者数が定員を1,000人も下回ったほか、5年後には4年制大学も希望者全員が入学できる計算になるという。「受験戦争を勝ち抜こう」と唱えていればよかった時代は、まさに終わろうとしている。そんな中、芽室町西2南3の総合英語指導「まさむら塾」(正村直城塾長)は、早くも他塾との差別化に努めている。

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受験を取り巻く環境の変化で、学習塾の在り方も転換を求められている
同塾がわずか14人の塾生で始まったのは、日本の18歳人口が史上最高の205万人に達した1992年。国内の子供の数は翌年から下降に転じたが、それと反比例して塾生数は年60〜70人ずつ増加。現在は芽室の2教室をはじめ、帯広、清水、大樹の各教室に、幼児から高校生まで計450人が通う。

正村塾長は「少子化の到来は、もちろん開塾時から予測済み」とした上で「大学の門戸が広がれば、現在、全国で50%の進学率も必ず上がる」と断言。「より高いレベルの大学を目指して高校入学時から塾に通う生徒が増えるだろう。一流校はともかく、中堅以下の私大は受験科目の軽減や選択教科の緩和に乗り出して学生確保に躍起になるはず」と説明する。

その言葉通り、同塾では一昨年夏に東京の大手予備校と契約し、管内町村でいち早く大学受験専門のクラスを開設した。現在、地元と近隣の町に住む現役・浪人生の計40人がテレビ画面を通じて希望教科の講義を受けているほか、全国各地の大学の最新入試情報を得ている。生徒の90%は女子で、半数近い18人を1年生が占めるという。

一方、高校進学率が98%に達し、既にほとんどが塾に通っている中学生市場の開拓は頭打ちになりつつある。正村塾長は「2000年度から、道立高入試の英語にヒアリングが加わる。今までのような暗記一辺倒の教え方では、受験生のニーズにこたえられない。効果的な指導ノウハウを持つことが生き残りにつながる」とみている。

財団法人統計情報研究開発センター(本部東京)の試算によると、95年現在で、芽室町内の0〜14歳人口の割合は全人口の18.3%。2025年には13.4%まで落ち込む推計値も出ている。これに対し、地元では16もの学習塾が、限られたパイをめぐってしのぎを削っている。

同塾では「これからは受験のためだけでなく、社会でも役立つ知識が求められる」との理念を確立。「使える英語」のヒアリングを幼児から高校生まで一貫して教えるカリキュラムに従い、「合格至上主義」の塾では敬遠されがちな「できない子」も進んで受け入れている。さらに、学力差によるクラス分けを避け、子供の自尊心を損なわないよう配慮している。

正村塾長は「今後は塾もサービス業としての資質が問われ、個別の能力に合わせたきめ細かい対応が重視される」と分析する。少子化は塾経営の明らかな脅威だが、いつの時代も親は子供に学校以上の教育を受けさせたいと願うもの。「できる子」も「できない子」も楽しく学べる場−。学習塾が背負う役割と期待は、ますます高まろうとしている。(年間キャンペーン取材班=岩城由彦)


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