忠類村の挑戦

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歯止めへ多様な施策〜子育て支援は管内一の充実

十勝で最も小さな村・忠類にとって、少子化はかなり以前から重要な地域課題になっている。

出生数を見ると、ここ10年はほぼ年間10人台で推移。1993年には7人という厳しい事態も経験した。村内唯一の忠類小学校の児童数は10年前に169人だったが、今年は103人。忠類中学校も91年から100人を割り、今年は60人。「子供がいないと地域に活力がなくなる。安心して子育てができる環境をつくることは行政の責任」(二川邦男村長)と危機感を募らせるのは当然のことといえる。

ぐらふ
統計情報研究開発センターの推計値では、2025年の0〜14歳人口がわずかに53人と衝撃的な数字。これだと村内にそれぞれ一つしかない小・中学校の複式化はまぬがれない。「何とか今の規模を維持したい。それには特定の分野を強調するだけでなく、広く目配りした対策が必要」と二川村長は考える。

事実、忠類の子育て支援施策は、特に金銭面で管内トップの充実ぶり。まずは出産時。第一子1万円、第二子2万円、そして第三子以上には10万円の「祝い金」を贈る。乳幼児医療費は6歳未満が無料。3歳未満に設定する市町村が多い中、一歩抜きんでている。今年度から高校生にも月5,000円の就学奨励金を支給することにした。「全国的な先進例を勉強して、思い切って取り組んでいる。今後もさらに充実させていくつもり」(村長)だ。

山村留学の新しいパターンとして「ふる里留学支援」もスタートさせる。これは村内在住のおじいちゃん、おばあちゃんの元に児童、生徒が滞在し、忠類の学校に通う制度。「一般的な山村留学に必要な“里親”を探すには時期が熟していない。それなら肉親のところに留学してもらおう−という発想」(二川村長)。7人しかいない93年生まれのうち、2人はすでに村外に転居しており、この制度は“即戦力”として期待されている。

少子化対策を含んだ忠類の「定住促進条例」では、このほかに結婚、転入、住宅新築なども支援している。定住の意思がある新規転入者には単身だと10万円、家族持ちだと20万円の奨励金を出す。住宅新築には最大100万円。結婚祝い金は事業主、事業後継者だと30万円を贈るなど、条例の名の通り「定住」への期待が色濃くにじみでた設定。

「定住促進条例」全体では追加補正が必要なほどの反響があるが、少子化、人口減の傾向は続く。「でも、こうした施策を全くとらなければ、今よりもっと減っているはず。歯止め効果は徐々に表れている」と二川村長はみている。

現在、忠類の人口は1,800人台。「どんなことがあっても1,500人を切るような村にはしたくない。そのためには若い人たちが住んで、働いて、子供を育ててくれるような村にしなければ…。小さいから解決できない難問もあるが、逆に小さな村だからこそできることもある。頑張れば活気に満ちた村にできるはずだ」−二川村長はこう言い切った。少子化と過疎化が同時に進行する“逆境”の中、忠類村の挑戦は始まったばかりだ。(年間キャンペーン取材班=高久佳也)


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