幼稚園の取り組み

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運営方針に顕著な差〜園児確保、2歳児からの教室も

これまで横並びだった保育内容が多様化し始めている。特に幼稚園では少子化傾向を背景に、運営方針に顕著な差異が出てきた。

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約90人の幼児を抱えるリーフレットクラブ。少子化を見据えた新たな試みを検討する幼稚園は多い
「この先、幼稚園はどうなってしまうのかという不安は、皆持っている。帯広でも対策に乗り出す園は増えていくだろう」と、帯広わかば幼稚園(帯広市西17南5)の矢野充園長は話す。矢野園長自身、昨年4月から幼稚園とは別経営の形で、2歳児を対象にした幼児教室などを開く「リーフレットクラブ」の運営を手掛けている。

幼稚園の受け入れは3〜5歳の児童で、おおむね平日の午前10時から午後2時まで。これは学校教育法で定められ、どの幼稚園も変わらない。リーフレットクラブはこうした一律の幼稚園運営の中で、その“幅”を広げる試みだ。

同クラブでは幼児教室が週1、2回、午前中に開かれるほか、在園児が午後2時以降もサッカー、体操などをしながら過ごす「課外教室」、午後6時まで延長して預かる「課外保育」などに取り組んでいる。「一人っ子が多くなる中で、社会性を養う場としての集団保育の必要性を実感していた」という矢野園長が数年前から練っていた構想で、幼稚園のノウハウを生かした指導が最大のセールスポイントだという。

同時に、同クラブは幼稚園の運営戦略の一つに位置づけられている。帯広わかば幼稚園の周辺地区も少子化が進み、270人の定員に対し、在園率は1995年度が93.3%、96年度が90.4%、そして97年度は87.0%にまで低下した。こうした傾向の中で、同クラブは園児確保の手段になり得る。「リーフレットクラブの2歳の子供たちが、3歳になった時にそのまま、わかば幼稚園に通ってくれることを期待している」。矢野園長はそう打ち明ける。

ほかの幼稚園も「延長保育」などの検討に入り、今後はニーズの高い日曜・休日保育、一時保育などに取り組むところが増える可能性は高い。しかし、こうした動向とは一線を画す幼稚園もある。

つくし幼稚園(同市南町南8線)の天野和幸園長は「さまざまなニーズがあることは知っているが、それは子供のためにならないと私は思っている」と言い切る。同園は通常通りの受け入れ態勢を継続、「今後もこの姿勢は変えない」との運営方針を貫く。子育てを教育面でサポートするのが幼稚園であり、幼稚園が何でもしてしまうのは親のためにもよくない−との持論だ。

同園では1学級当たりの児童数を減らすことに取り組み、現在は4、5歳クラスで25人。「理想は20人。子供に目が行き届き、手を掛けることができるという意味では、少子化は一つのチャンス」と前向きにとらえる。「経営は厳しくなるが、将来的には親に相応の負担をしてもらうことになる」という。

わかば、つくし両幼稚園とも「子供たちのことを第一に考えて運営していく」という点では何ら変わりはないが、その手法は明確に異なる。少子化は各幼稚園の理念を改めて浮き立たせると同時に、利用する側の意識も問うている。(年間キャンペーン取材班=猫島一人)


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