保育所再編

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迫られる統廃合、人員整理〜幼稚園でも定員など変革の動き

「私はもっと減ると思いますよ」。帯広私立保育園連絡協議会会長を務める稲田保育園(帯広市稲田町)の清水良次園長は、帯広市の14歳以下の推計人口が1995年の2万9,845人から、30年後の2025年には2万379人と約9,500人減少する−というデータ(グラフ参照)を目にし、さらりと言った。子供は減り続ける。清水園長は「各保育所がどんなに最良の保育に尽くしたとしても、統廃合や人員整理が迫られるだろう」という。

ぐらふ
帯広市内の保育所はここ数年、不景気などによる共働きの増加で、子供を預ける家庭が増える傾向にあり、今年度は約2,300人と過去10年で最多を記録している。しかし、その実態は2歳以下という早い年齢から子供を預ける家庭が増えたに過ぎず、従来多かった3〜5歳児は減少。関係者は「実数は確実に減っている。増加は一過性」とみる。

こうした中、少子化への対応は保育施設、人員配置の“再編”という形で始まろうとしている。帯広市は現在、99年から10カ年の保育行政の指針となる「児童育成計画(エンゼルプラン)」の策定作業に入っているが、そこでも再編を意識せざるを得ない。市福祉部の武士沢康夫次長は「もともと帯広市は他の都市と比べ、公立保育所の設置率が抜きんでて高かったこともあり、17カ所の公立保育所のうち、定員割れしているところは、民間移行や統廃合を視野に入れた検討を行う」と明言する。

こうした公立保育所の動向に、私立保育所も敏感に反応、危機感を募らせている。市内の私立保育園長会では「公立の次は私立だ」という言葉が、当たり前のように交わされるという。清水園長は「柔軟に対応できる私立の利点を生かしていくしかない」と気を引き締める。

メモ

(財)統計情報研究開発センターは総務庁所管の公益法人で、統計情報の加工や分析、研究などを実施。今回の自治体別将来推計人口の数値は、1990年と95年の国勢調査を基に、この5年間の人口動向に出生率や死亡率などの要素を加味し、2025年まで5年刻みではじき出している。

一方、市内の幼稚園では今春、一足早く統廃合が行われた。同じ学校法人が経営する葵幼稚園と葵南幼稚園が移転改築し、「帯広の森幼稚園」と名称を変えてスタートを切った。統廃合の直接的な理由は、もとの園舎の老朽化と狭あい化だが、園児数の減少も大きく影響した。葵は帯広市東部地区、葵南は大空地区にあったが、両地区とも少子化傾向が顕著で、97年度の在園率は葵が35%、葵南は29%にまで落ち込んでいた。

市内の幼稚園全体の定員は3,590人。これに対し、園児数は2,913人で、在園率は81.8%(97年度)。今後は園児の多い西帯広地区も子供の数は減少に転じるとみられるため、保育所と同様、定員の見直しなどさまざまな“変革”が迫られるのは必至だ。

ある保母は「今までは(保育所、幼稚園を)運営すると言っていたけれど、これからは『経営』しなければならない。そんなことは考えず、最善の保育を提供することだけに専念したいのだが…」とつぶやいた。少子化の“波”はまだ、ほとんどの人が実感できずにいる。しかし、保育関係者は、そんな小さな波をひしひしと感じている。

総務庁が今年4月1日現在でまとめた子供(14歳以下)の人口統計が、国勢調査が始まった1902年以来の最少記録となり、65歳以上の老年人口を初めて下回るなど、少子化傾向は徐々に、そして確実に進行している。十勝管内もその例外ではない。年間キャンペーン「21世紀からのメッセージ−少子化時代を考える」第3部は、財団法人・統計情報研究開発センター(東京)が実施した国内全自治体別の推計人口値などのデータを基に、少子社会到来による十勝のさまざまな現象を、関係者の話を交えて探ってみる。(年間キャンペーン取材班=猫島一人)


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