十勝は今〜低出生率の背景

−5−

教育費負担ズッシリ〜共働き、ローンでしのぐ

帯広市内の公務員、Aさん(59)は転勤族。昨年やっと子供の教育費負担から“解放”された。

「長男は2浪してアメリカに留学、長女は東京にある私立の音楽大学に進みました。2人への仕送りが年に450万円だった時期もあります。共働きでも足らず、退職金を前借りしました」

また、同市内の団体職員、Bさん(52)は一女二男の全員が大学や専門学校に進んだ。「将来のことを考えて、子供が小学生のころから積み立てしましたが、2年で底をつきました。重複すると年に500万円を超え、とても一人の収入では無理。共働きプラス教育ローンで何とかしのぎました」。長女、長男は“独立”、今春から二男が大学に進む。「帯広に大学があって自宅から通学できると少しは楽なんだけどね」と苦笑いする。

グラフ

教育費負担が親に重くのしかかるのは、大学や専門学校ばかりではない。文部省の1997年度「子供の学習費調査」によると、年間の学習費総額は、幼稚園で24万2,000円、小学校(公立)で30万7,000円、中学校(同)で43万2,000円、高校だと公立で52万円、私立で96万6,000円。(いずれも1,000円以下切り捨て)

幼稚園から高校まですべて公立に進んだモデルケースだと、14年間(4歳から18歳まで)の学習費総額は517万円。私立幼稚園−公立小−私立中・高のパターンだと、928万円に跳ね上がる。

札幌の中・高一貫教育の学校に長男を進学させた十勝管内のCさんは「6年間、毎年140〜150万円は仕送りした」と振り返る。「子供が一人だったから何とかできた。たくさんいたら、財布の中をまず考えたでしょうね」

学習費総額には学校教育費や給食費だけでなく、学習塾や習い事の費用も含まれている。小・中学校ではこの部分が全体の半分近くを占めている。

学習塾だけに焦点を合わせると、通塾者の年平均は、小学生(公立)が12万7,000円、中学生(同)20万5,000円、高校では公立が18万4,000円、私立が22万3,000円−という数字が文部省の「学習費調査」で示されている。

では、学習塾や習い事に通う実態はどうなのか−。上士幌町教委が小学5年生と中学2年生を対象に、昭和62年(1987年)から5年ごとに実施している調査に興味深い数字があった。

塾に通っている小5児童は1987年に12%だったが、昨年度は23.7%でおよそ2倍。中学2年生でも30.2%が33.3%に増えた。一方で、小学生の場合はスポーツ少年団などが減っている。

また、芽室町教委が昨年調査したところ、町内の小学生の45%、中学生の52%が塾に通っており、小学生では31%、中学生では16%が習い事と重複していることが分かった。

親が教育にお金をかける傾向は小学校、あるいはそれ以下から始まっている。そして、それは中学、高校、大学へと途切れることなく続く。高学歴を目指すほど負担は確実に重くなる。

Cさんは言う。「サラリーマンは財産を残してやれないから、せめて教育だけは−という気持ちがある。子供が『この学校に行きたい』と言えば、何とかしてあげたいと思うでしょう」。まだ一人残っているBさんは「この高学歴社会で複数の子供に満足する教育を受けさせようと思えば、普通のサラリーマンでは無理です」。(年間キャンペーン取材班=高久佳也)


年間キャンペーン『少子化時代を考える』  WEB TOKACHIトップへ