十勝は今〜低出生率の背景

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晩婚化傾向が拍車〜自由求める「結婚観」に

少子化の物理的な要因で最も明確なのが、晩婚化の傾向だろう。結婚して子供を産むことが自明の日本では、結婚が遅れることイコール子供の数の低下につながる。

かといって、女性の結婚願望がなくなったわけではない。ではなぜ晩婚なのか。

市内の保育現場で働くA子さん(36)は「いい人がいれば結婚したいけど…。自分が自由にできるお金や時間、それを犠牲にしてまで一緒になりたい人がいなかった」と言う。この言葉に象徴されるように、女性が一生涯の仕事を持ち、一人でも生きていけるという経済自立が可能になった今日、結婚はもはや“女性にとって必要不可欠なもの”ではなくなったと言える。

なぜ結婚しないのか(したくないか)
グラフ

日本子ども家庭総合研究所(東京)が未婚の男女学生1,275人に行った「結婚観」に関する調査では「一生結婚するつもりはない」と答えた女性はわずか0.6にとどまった。一方、「理想的な相手が見つかれば結婚するつもり」という条件つきは女性で56.0%に上った。同所では「現代女性の結婚志向は決して低下していないが、理想を犠牲にして意向に沿わない結婚をするつもりはなく、これが結果として晩婚傾向に結びつく可能性がある」と分析している。

さらに、従来の“適齢期意識”の薄れが、晩婚化により拍車をかける。前出の調査でも、結婚したい年齢のトップが「25〜29歳」(63.8%)となっているものの、それがかなわなかったとき、「結婚に対する周りのプレッシャーが高まったらどうすると思いますか」との問いに「積極的行動は起こさず成り行きにまかせるだろう」が60.7%。「理想とは多少違っても、妥協して結婚するだろう」は4.1%にとどまっている。

十勝でも若者の結婚に対する意識で、同様の数字が出ている。21世紀十勝福祉塾のアンケートでは、未婚女性の83.0%が「結婚したい」と答えている。逆に「結婚したくない」と回答した女性の理由のトップは「結婚に魅力を感じない」(85.0%)、次が「自由な時間(お金)がなくなる」(57.5%)と続いている。

同総合研究所の斉藤幸子主任研究員は晩婚化の現象をこう説明する。「“個の幸せ”を追求する世の中において、自由に生き、それなりの満足感を持っている女性が、結婚という形に縛られなくなったということだろう。だが、これは結婚によるマイナス面が女性にまだ大きいということを示している」

帯広市内の民間企業に勤める31歳の女性は言う。「20代後半には焦りはなかったわけじゃないけど、今はもうムリして探そうとは思わない。だって、今は別に何不自由なく暮らしているし、一緒に暮らしたら相手のご飯を作ったりとか、自分のペースでいられなくなるから」

晩婚化に伴う少子化の問題は、国全体の問題というよりも結局は個々の生き方に負うところが大きい。個人の価値観が多様化し、女性にとって結婚や出産が“必要不可欠なもの”でなくなってしまった以上、これを女性が「損」と感じてしまうような状況が変わらなければ、この問題の根本的な解決には程遠いと言える。(年間キャンペーン取材班=小関伸子)


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