十勝は今〜低出生率の背景

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子供か仕事か〜はざまで悩む働く女性

「第二子が遅くなった理由には、やっぱり仕事があったかな。転勤の時期に当たらないようにとは思ったし…」。市内小学校で養護教諭として働くA子さん(37)は現在、10歳と2歳の2児の母親だ。子供は2人欲しかったというが、第2子は完全に、自身の仕事の都合で計画的な出産だった。

女性の社会進出で働く母親も急増。だが、子育ての負担は依然として女性に重くのしかかる

女性の高学歴化、社会進出に伴い、仕事を「単なる生活のための手段」と見るのではなく、「自己実現の手段」と考える女性が増えている。A子さんも仕事を一生のものとしてとらえ、「結婚や子供によって仕事を辞めようという気持ちは全く無かった」という。

だからこそ、子供のできる時期にも慎重にならざるを得なかった。「やっぱり自分の仕事に支障のないようにとは考えた。自分も仕事に慣れて精神的に落ち着いたころ、(時期的に)そろそろかなと思って…。努力しました」

かつて、女性の生きる道は結婚、子育てと定められ、多くの女性たちもそれを疑わなかった。時代は変わり、今では生き方の選択肢が増え、女性たちも自分の仕事にやりがいを見いだし、社会にも活躍の場が多くなった。ところが、皮肉とも言うべきか、仕事での活躍のピーク(20代後半−30歳くらい)と出産・育児の時期が重なってしまう。そのために仕事か子供かの選択を迫られたり、希望する子供の人数が限られたり、または出産、子育てが仕事をする女性に大きな負担としてのしかかることになった。

保険業界で働く市内のB子さん(27)は、4歳と2歳の女の子を持つ母親。高校を卒業後、地元企業に就職し、22歳で結婚。23歳の時に上の子が生まれたが、8週間の産休を経て子供をゼロ歳保育に預け、またすぐに職場に復帰した。「ゼロ歳から子供を預けることには、やっぱり夫や周囲からかなりの反対がありました」という彼女だが、働き続けたいという意志は揺らがなかった。

下の子を妊娠していったん仕事を辞め、その子が満1歳になった2年前の春から現在の仕事に就いた。給料の大部分は2人の保育料5万円余りに消えていくため、金銭的な面だけでいえば、決して割がいいとは言えない。それでもB子さんは明るい表情だ。「外で働くのが楽しいし、家にいて得られないようなプラスになることが仕事にはいっぱいあるから」

母と社会人の二面の顔を持つ彼女たちが一番悩むのはどんな時だろう。そう投げかけると、ほとんどの女性が「子供が病気になった時」と口をそろえて答えた。そんな時、母親は1人の子供の決して代わりのいない“母”であること、社会で働く責任ある“一社会人”であることとのどちらかの決断を迫られ、はざまで悩む。

しかし、近く到来する少子高齢化社会において、女性の労働力は欠かせない存在になってくることは明らかだ。少子社会における諸問題を研究している日本子ども家庭総合研究所(東京)では、そうした時代に「産む」ことがハンディにならない社会、子育てを家庭のみに預けず行政がサポートする体制こそが、女性たちの負担を減らし、結果的には少子化をくい止めることになる−と指摘している。(年間キャンペーン取材班=小関伸子)


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