WEB TOKACHI
十勝毎日新聞社
WEB TOKACHI
Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.10.18] >>> 目次ページに戻る
海外移住



これからの10年 人生最後の大挑戦


 「50歳を前にやりたかったことがやっと表現できた。これまでも多くの転機はあったが、今年は今後の人生の大きな一歩になるような気がする」。アフリカのガーナでただ一人の日本語講師として働く米山博子さん(49)=大樹町出身=は、5月に絵本「サラガのバオバブ」を出版、今後の活動の足掛かりを築いた。

学校のポスター心はアフリカに
 アフリカに関心を持ったのは小学生のころ。きっかけは、学校の廊下に張ってあったアフリカでの戦争を伝える1枚のポスター。「自分の知らない世界がある。外国では何が起きているのだろう。悲惨なことも引き起こす人間とは何だろう」

 中京大(愛知県)を卒業し大樹で英語教室を開設した後、同大在学中に知り合ったガーナ人のチャールズ・イエボアさんを頼りに1989年に単身同国へ。いったん帰国、東京の専門学校で日本語講師の技術を身に付け、94年に再びガーナに渡り、首都アクラにあるガーナ大のレゴン国際関係学センター(日本の大学院に相当)に勤務している。

 アフリカでの暮らしは日本のように便利ではない。そこにますます魅力を感じた。幼少期、大樹の実家にはガスや水道、電気が通っていなかった。牛や馬、ヤギを飼い、水は近くの川から祖父がくんできた。越冬用の保存食は夏の間に用意する。「十勝で自然の厳しさを肌で感じた。自然と共存する生き方をしたいという今の考えの土壌になっている。アフリカと十勝はそれほどかけ離れてはいない」。2002年に新居を構え、2月には永住権を得た。結婚はしていない。

 日本語を教える傍ら、差別や人権に関する催しに積極的に足を運ぶ。03年に奴隷貿易に関する講演を聞き、西アフリカ最大の奴隷市場があった同国北部のサラガを訪れ、部族長の話に耳を傾けた。「過去の事実に向き合い、人間がどうあるべきかを伝えたい」。絵本制作には4年を費やした。「私がアフリカのポスターを見たように、子供たちに『人間』を考える場を提供したかった」と語る。

「今」を一生懸命に必ず道は開ける
 今年は大樹、広尾、帯広や東京などで講演会を開き、子供たちにも読み聞かせをした。「さまざまなことにチャレンジしたいが、60歳までのこの10年間が人生最後の大きな挑戦になる。絵本の著者という肩書を活用し、アフリカから日本へ、そして世界へメッセージを発信していきたい」と意欲を見せ、「それが絵本になるか、童話になるか、映像になるかは分からない」。

 思考は常に前向きだ。「将来に対する不安は全くない。わくわくする。今を一生懸命に生きていると必ず道は開ける。目標実現に向け、アフリカの大地でまだまだ走り続けますよ」と目を輝かせる。
(第4部おわり、北雅貴)

(題字は長沼透石氏)
「生きる」へのご意見、感想をお寄せください。ファクス0155-25-2700、Eメールikiru@kachimai.co.jp

>>> 目次ページに戻る
(C) TOKACHI MAINICHI NEWSPAPER >>> WEBTOKACHI トップ