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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.10.15] >>> 目次ページに戻る
教育費、マイホームのローン…。熟年世代の背中には重い責任がのしかかっている(写真と本文は関係ありません)
失 職



前触れなく事業断念通告…焦燥感


 25年以上勤めた会社が、突然消えた。

 十勝管内在住の落合国男さん(48)=仮名=は昨年夏、衝撃的な事実に直面した。20歳で入社した老舗の建設関連企業。設計から営業まで幅広い仕事を任されていた。3人の子宝にも恵まれ、公私ともに順風満帆だった。

突然の解雇「何が起きた?」
 その日、普段通り出社すると突然、会社側から事業継続の断念と解雇を通告された。「前日まで何の前触れもなく、何が起きたのか全く分からなかった」

 共働きだった妻も勤め先の業務内容が変わり、仕事を失ったばかり。文字通り落合さんは一家の大黒柱だった。

 唐突な失業という現実。退職金も規定の3割程度しか支払われなかった。失職に向けた貯金などの備えはない。マイホームのローンだけが残った。

 家族にはその日のうちに打ち明けた。小学生だった末っ子ががっくり肩を落とす姿が、重く目に焼き付いた。

 東京商工リサーチ帯広支店によると、2007年の管内企業の倒産は46件、負債総額は136億3500万円と、件数、負債総額とも過去10年で最悪を記録。08年に入り倒産件数はやや小康を取り戻したが、金融不安や原料高など、企業を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。

 失業後、落合さんは無気力と焦燥感に襲われる毎日を過ごした。「何もする気が起きず、ただ気持ちだけが焦った」。働く場所があることの有り難さを改めて感じた。「休暇をもらったつもりで」と慰めてくれる友人もいた。だが、なけなしの蓄えは確実に目減りしていく。昨年は急激な灯油高もあり、秋以降の生活費は想像以上に膨らんだ。

 子供たちは、毎日家にいる父親の姿に動揺の色を隠せなくなっていた。私立短大に通っていた長女は、退学を余儀なくされた。

 都会なら仕事もあるだろうと、札幌のハローワークにも通った。だが、求人は派遣労働がメーン。家族4人を抱える落合さんには、年収面で折り合いが付けられなかった。

 ハローワーク帯広には、45−54歳の新規求職登録が04年度以降、毎年2000人を超す。このうち倒産、リストラなど事業者都合による離職者は2割近くに達する。一方、就職件数はパートを含めても年間700件に届かない。同ハローワークは「条件面でマッチする求人が少ないほか、転職活動の経験や準備もなく、面接などのテクニックが身に付いていない人も多い」と、この年代の再就職の課題を指摘する。

支えてくれた家族 拾ってくれた会社
 昨年暮れ、落合さんは管内の同業他社への就職が決まった。学校を断念した娘は就職して新たな道を歩み始めている。「どん底を味わったが、拾ってくれた会社と、支えてくれた家族に感謝している」。落合さんは恩返しの日々を送る。
(長田純一)
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