WEB TOKACHI
十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.07.02] >>> 目次ページに戻る
高卒認定試験の問題集と、びっしりと文字が書かれたノート
高校中退、大学へ



大勢いる場所が怖い…
社会不安障害、学校通えず

「同じ境遇の人支えたい」一歩ずつ前へ

 「教室にいるのがつらい」「でも授業を受けなければ」−そんな葛藤(かっとう)の中、いつももがいていた。

教室は息苦しい理由分からず
 十勝管内に住む木下雄平さん(19)=仮名=は「保健室登校」を続けた高校時代を振り返る。管内の中学校を卒業後、帯広市内の高校に進学。入学してすぐ、教室にいると息苦しさを感じるようになった。理由は分からない。次第に大勢の人がいる場所が怖くなり、教室に入ることができなくなった。2年の3月に中退した。

 「自分から積極的に話すタイプではなかったけれど、高校に入るまではそんなことはなかった」。両親には保健室通いを伝えられず、毎朝登校を続けた。当たり前のように高校生活を送る同級生を見ると、罪悪感を覚えた。クラスの席はいつも廊下側の1番後ろ。教室に入りやすいよう学校側が配慮してくれた。

 それでも同級生のいる廊下を歩き、自分の教室にたどり着くことは、苦痛だった。教室にいると緊張で体がほてってくる。受診した心療内科での診断は「社会不安障害」。人前に出ることへの恐怖心が強く、発汗や震えなどの身体症状が表れる病気だ。薬を処方され、しばらくは落ち着いたが、2年進級時のクラス替えで再び教室に入れなくなった。

 一時は家族以外の誰とも接するのが怖く、近所のコンビニエンスストアにさえ行けなかった。「毎日が本当につらく、地獄のようだった。だからといってどうすればよいのか分からなかった」。ただ1人、思い悩んだ。

フリースクール大学合格へ勉強
夢に向け、勉強に励む木下さん
 結局、単位取得が難しくなり、2年の10月に休学したまま学校を去った。その後、「居場所が欲しい」とフリースクールへ。高校時代の分を取り戻すかのようによく話すようになった。学校に通えずに悩む同世代にも出会い、フリースクールにさえ出て来られず、家に引きこもる人がいることを知った。

 現在は高卒認定試験と大学合格に向け、勉強の毎日。「不登校の子供の社会復帰を支援したい」と、目指すのは臨床心理士だ。「今もまだ少し人が怖い。大学でもまた以前のようになってしまうのでは、との不安はもちろんある」。大多数の人と比べ、少しばかり回り道をしたかもしれない。だが今は夢に向かい、真っすぐ一歩ずつ歩み始めている。
(山下聡実)
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