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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.06.27] >>> 目次ページに戻る
「ただ普通に暮らしたいだけなのに」と語る菊池さん
性同一性障害(下)



戸籍上の性別、変えられたら…結婚も

穏やかに普通に暮らしたいだけ

 女性の体に男性の心が宿る菊池光さん(36)=仮名=は、3つ年下の山口唯さん(仮名)と札幌市内で暮らしている。同居して4年以上になる。

 山口さんは戸籍上「男性」。身長172センチ、体重約50キロ。背は菊池さんより10センチ以上高い。色白のうえ女性ホルモンを投与していて、ひげはない。両の胸には穏やかな膨らみもある。

自然に迎え入れてくれた両親
 性同一性障害者やその家族を支援する会の親睦(しんぼく)会で知り合った。2回目の会合で意気投合し、間もなく一緒に暮らし始めた。その年の夏。菊池さんは山口さんを連れて里帰りした。事前に長い手紙を書いて経緯や今の思いを説明。両親はごく自然に2人を迎え入れてくれた。

 菊池さんが長文の手紙を両親にしたためたのは、性同一性障害を告白した2000年以来。届いた後に帰省し、治療やケアを札幌で行うと告げた。「母は泣き、父は『何を言ってるんだ』という顔だった。ショックを受けていたけれど、理解し、受け入れてくれた」と言葉少なに振り返る。

 戸籍上、2人の性は女と男。現状でも結婚できるが、「戸籍を変えてからでないと結婚するつもりはない」と菊池さん。

 戸籍の性別変更には、元の性での生殖能力がないなど一定の条件が必要。菊池さんの場合、膨らみが残る乳房や、子宮を切除しなければならない。「手術費がなければ変えられない。事実婚の状態で不都合もないし」

周囲に明かさなければ…
 派遣会社の登録社員の菊池さんには今、派遣先から正社員採用の声が掛かっている。本採用になれば戸籍上の性(女性)が周囲に明かされる。「だましていたわけではないけど、周りの人はだまされたと思うんじゃないかな」。採用は戸籍の問題を整理してからにしたい。しかし、手術費を工面する余裕はない…。

 「穏やかに暮らしていきたいのに、何かあると戸籍が障害になる。戸籍って何なんだろう」。菊池さんは、次の一歩をぼんやり模索している。
(吉良敦)

 戸籍の性別変更
 2003年に成立した特例法(今年6月に一部改正)により、04年7月から性同一性障害者に限り可能になった。(1)20歳以上(2)結婚していない(3)未成年の子がいない(改正部分)(4)生殖機能を失っている−などが条件。
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