WEB TOKACHI
十勝毎日新聞社
WEB TOKACHI
Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.06.25] >>> 目次ページに戻る
ホルモン注射の効果であごにはひげが伸び、外観は男性に見える菊池さん
 性同一性障害(上)



女性らしく振る舞おう…でも無理「自分は男」

心身の不一致  “普通の就職”の壁に

 取材時間を決める日の前日夜、札幌に住む菊池光さん(36)=仮名=から電話が入った。「取材に堪える話はできない気がする。性同一性障害者の声を代弁するように受け止められるのも嫌だし」。歯切れの悪い言い方にまだ悩んでいる様子が感じられた。

 「性同一性障害者の代表ではなく、菊池光さんの生き方を語ってほしい。心配している点には配慮するつもりです」

 6月初旬、札幌市内で菊池さんに会った。身長158センチ、体重50キロ。女性の体に「自分は男」という心が宿る“彼”は、人懐こい笑顔を見せながら語ってくれた。28歳のころから打ち始めたホルモン注射の効果で生えだしたあごひげをさすりながら−。

子供のころから感じた「ズレ」
 網走管内出身で、弟が2人。高校卒業後、釧路管内で学生生活を送った。その後、8年ほど十勝で暮らしたこともある。

 幼稚園に通っていたころ、女の子同士「好きな人」を言い合った。男児の名が挙がり、「どうして?」と不思議に思ったことをよく覚えている。小学5年生の時には「女だから」という理由で野球チームに入れず、悔しい思いをした。

 中学生に入ってからも心と体の不一致は続き、ズレは深まった。「ずっとなければいいと思っていた」生理がきたのは中3の時。「母は赤飯を炊いてくれたけど、ちっともうれしくなかった」

見え始めた社会の現実
 初めて地元を離れて迎えた学生生活。入学式にはスカートをはいて臨むなど、女性らしく振る舞おうと努めた。「でもだめでした。すぐに男の自分を隠せなくなった」。親しい友人には「心の中は男」と明かした。女性と交際するなど、自分にとってごく普通の学生時代だった。

 しかし、就職時期を迎え、暗雲が立ちこめた。職を選ぶには性別をごまかせない。結果的に「通常の就職活動は断念しました」。心身の性の不一致が、目に見える形で菊池さんの人生に影を落とした。
(吉良敦)

 性同一性障害
 生物学的(身体的)な性と心理的な性が異なる障害。日本精神神経学会のガイドラインによると、基本的な治療は、精神的サポート、ホルモン療法と乳房切除術、性適合手術という手順で行われる。
「生きる」へのご意見、感想をお寄せください。ファクス0155-25-2700、Eメールikiru@kachimai.co.jp

>>> 目次ページに戻る
(C) TOKACHI MAINICHI NEWSPAPER >>> WEBTOKACHI トップ