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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.06.24] >>> 目次ページに戻る
脱レール世代(下)



将来の不安も…豊かな生活より夢の実現選択

今は精いっぱいボランティアを

 国際協力機構(JICA)が各国に派遣する青年海外協力隊の隊員も、帰国間近になるとインターネットなどで就職活動を始める。帯広畜産大卒の飯山尚子さん(28)=網走管内美幌町=の同期隊員もそうだった。

海外協力隊終了心はアフリカに
 2005年12月に帰国しても飯山さんの頭に就職はなかった。「もっとできることがある」と、JICAの後ろ盾がない中、翌年4月に再びタンザニアへ。主要都市・モシ市では路上にあふれるストリートチルドレンの現状を知った。4畳1間に家族4人で暮らす。1日1食、義務教育の小学校にも通えない。現地の同年代の女性と無料の私塾を開設。学校に通えない子供を毎日30人ほど受け入れた。雇った教師2人の給料は、日本で集めた募金だけでは足りず、自腹を切った。

 9年で6回の渡航。帰国するとアルバイトで旅費と活動資金をためる。「また行くの」という親せきの言葉に「働かないの」と無言の圧力を感じたこともあった。しかし、仕事は仕事と割り切る友人を見ると「お金のために時間を費やすのはもったいない。もっと大切なことがある」と思う。「私たちの世代にとって働くことって生きがいや満足できるもの。生計を立てるためではない。私はやりたいことの延長がボランティアだっただけ」と、働かなければと焦りを感じる自分に言い聞かせる。

 08年3月に大学の山岳部時代から付き合っていた獣医の主明(たかあき)さん(27)と結婚、親元(東京)を離れた。生活には困ることはない。「甘いかもしれないけど、豊かな生活より夢を実現することの方が大切」。とはいえ将来に不安もある。「子供ができた時、これだけでは食べていけない」。ただ「今はこの活動を精いっぱいやりたい」が正直な思いだ。

私塾と里親制度NGOを設立
 東京の小学校でタンザニアでの体験を講演することもある。「現地の現状を伝えられるのは、自分だけと思うとやりがいがある」と目を輝かせる。4月に私塾と里親制度を運営するNGO(非政府組織)を発足させ、約20人の会員らと活動している。ゆくゆくはNPO(民間非営利団体)の法人格を取り、「生計を立てながら続けていくのが夢」。

 親世代が高度経済成長を経験し、豊かさを享受する団塊ジュニア以降の世代。生活に困らず、豊かさへの追求心が乏しい半面、「生きるための経験」に飢えている。
(安福晋一郎)

(題字は長沼透石氏)

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