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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.04.11] >>> 目次ページに戻る
和室タイプの居室。見学に訪れた助産師らに設備を説明する青山センター長(奥)
5. 産後ケアセンター



不安解消し疲れを取る…
官と学が手助け

 閑静な住宅街にある「産後ケアセンター桜新町」(東京都世田谷区)。助産師が24時間常駐し、産後4カ月以内の乳児と母親のケアに当たる全国初の施設だ。区の土地に武蔵野大学(東京都西東京市)が付属施設として建て、運営に当たる。行政と大学が「子育て」の分野で手を携えるユニークな試みで、助産師を中心に注目を集めている。

 青山廣子センター長は「全国初とはいえ、現場ではそれほど大上段に構えていませんよ」と笑顔で話す。「お母さんの疲れが取れ、元気になって帰ってもらえば」と気負いはない。

急速に浸透
 利用開始は3月5日。今月8日までに10組余りが訪れ、サービスを受けた。「上の子としっかり遊びたい」と乳児を預けて2時間後に戻ってきたり、4、5日間続けて日帰りサービスを受けたりと、利用法はさまざま。週2日来所する臨床心理士の話を聞く母親も。再利用者も出始め、青山センター長は「想像以上の早さで施設の存在が住民の間に浸透している」と手応えを感じている。

 区の狙いは幼児虐待の未然防止。虐待の相談件数は、2005年度に600件弱だったが、08年度には900件を突破。半数以上が「ネグレクト」(育児放棄)。「ブランドの服を取っ替え引っ替え着せるが風呂に入れていない」「ご飯はコンビニで買ったものばかり」といったケースなどだ。区子ども部副参事の小堀由祈子さんは「子育ての根本ができていない人が目立つ」と話す。

元気のもと養う
青山センター長
 同区は人口が増え続けると同時に核家族世帯も増加。05年の国勢調査では核家族が5年前より5.1%(9172世帯)増えた。十勝の増加率2.3%(1986世帯)より3ポイント近く高い。「母親になるまで子供を抱っこしたことがない女性もいる」(小堀副参事)といい、子供に接する機会がないまま母親になる人も少なくない。

 センター開設で中心的役割を果たした同大看護学部長の宮里和子教授は言う。「母と子は生まれた時の問題が一生ついて回る。ここで心身をリフレッシュして元気のもとを養ってほしい」。十勝でもこうした施設を望む母親は少なくないはずだ。
(吉良敦)

(題字は長沼透石氏)
 産後ケアセンター桜新町 3階建てで、2階は区の委託事業専用で7室、3階は大学の自主運営で8室。宿泊は1日3食、日帰りは1日2食とおやつ付きで、母体ケア、育児相談、乳房マッサージなどのサービスが受けられる。区民の場合、区が9割負担し1泊2日で5600円、日帰りは1600円。家族の宿泊も可能。

 世田谷区 人口は外国人を含めると約84万人となり、東京23区で最多。2008年度の一般会計予算は約2300億円。十勝19市町村の合計約1933億円を上回る。福祉・健康、子育てを含め、予防型行政を推進中。

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