WEB TOKACHI
十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.04.10] >>> 目次ページに戻る
マグカップを手に語らう。「子供がいたら」「子供がいなくても」と心は揺れる
4. 家族の“形”



2人でも幸せ、
子供がいたらもっと…?

 余分な装飾や家具がない分、リビングは広く、天井も高く感じる。十勝管内に住む今田道也さん(34)と妻恵里子さん(32)=いずれも仮名=の「2人だけの城」は、1年前に完成した。「希望を最大限生かしてもらった」と恵里子さんはほほえむ。

 4年間の交際を経て結婚し、7年目。共働きのため休日を合わせるのは難しいが、年1回は一緒に長期休暇を取り、旅行に出かける。ゴルフは共通の楽しみの一つだ。

2人の心境変化
 結婚当初は「2人だけの生活を楽しみたい」と、子供をもうけることは考えていなかった。しかし、結婚から3年たったころ、共に心境の変化が訪れた。「子供がいたら」。友人や同僚の愛らしい子供と接するたびにそんな思いが強まった。「息子とキャッチボールをしたい」。野球好きの道也さんは願う。

 そんな変化とともに不妊治療を始め、人工授精も試した。しかし、毎日続けなければならない基礎体温の測定や服薬、仕事の合間を縫っての通院…。心身と経済面での負担になり始めている。「今は自然の成り行きに任せたい」が夫婦の一致した考えだ。

 「子はかすがい」「子供がいてこその夫婦」−。世間の声に流されているわけではないが、年齢を重ねるたびにプレッシャーも増す気がする。恵里子さんは「周囲は子供がいる人ばかり。子供の話題になると相当へこむ」と打ち明ける。「自分は何もしてあげられない」。寄り添う道也さんも心を痛める。

胸中にさざ波
 子供の送り迎えなどで忙殺される友人を見ると、「2人の時間を楽しめる自分たちは恵まれている」。でも、子や孫が故人を送り出す葬儀に参列した恵里子さんは「誰が見送ってくれるのだろう」と不安がよぎった。

 「結婚してよかった」の思いに変わりはない。同時に「子供がいなくても幸せ」「子供がいたらもっと幸せ?」−とのはざまで胸中にさざ波が立つ瞬間もある。家族形態が多様化する中、増加傾向にある夫婦だけの家庭。社会の中でさまざまな影響を受けるたびに足元を見詰め、手を携えて二人三脚の歩みを進める。
(原山知寿子)

(題字は長沼透石氏)
 夫婦だけの世帯 2005年国勢調査では、帯広市内の夫婦だけの世帯は1万7276世帯で、全体の23.5%。2000年調査時の1万6296世帯(23.0%)に比べて微増。高齢化のほか子がいない若年世帯が増えているとみられる。

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