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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.04.07] >>> 目次ページに戻る
臨月のおなかに手を添え、「悩みは出産の一部と割り切るしかない」と話す平岡さん
1. リスク



病院まで1時間半…
何かあったら間に合う?

片道60キロ
 片道60キロ。その距離がもどかしい。幕別町忠類の平岡志帆美さん(28)は初めての出産を控え、大樹町の実家に戻っている。予定日は今月25日。「わずかな違和感も気になるけど、帯広の病院まですぐには行けない。同じ水準の産婦人科が近くにあれば」

 妊娠が分かったのは昨年夏。つわりがひどく、10月下旬に帯広市内の病院に入院したほかは、ほぼ順調に経過してきた。勤めていた保育園で園児の母親に話を聞いたり、通院先の看護師らに電話で相談したりして不安を解消。いつでも病院に駆け付けられるよう夫(26)も実家に住んでもらっている。

 3月30日の午後、ちょっとしたアクシデントが起きた。鼻をかんだ際、破水を疑わせる症状が出たのだ。日曜日でそばにいた夫の車で帯広へ。「『いつ生まれてもおかしくない』と言われていたので慌てた」。母子ともに異常はなかったが、「同じようなことがあれば心配」と表情を曇らせる。

 十勝管内で分娩(ぶんべん)に対応する医療機関は帯広厚生病院、帯広協会病院、慶愛病院、坂野産科婦人科(いずれも市内)と公立芽室病院(芽室町)。大樹では1953年に町立国保病院がオープンした際、同科を設けたが、退職医師の補充ができず92年1月に廃止。平岡さんは「今の環境の中で対応するしかない。医師や看護師に連絡を取って指示を仰ごうと思う」と医師不足の現状を受け止める。

恐れてはだめ
 大樹町内で介護・ベビー用品などを扱い、育児に関する座談会の場も提供する「じぐの杜(もり)」店長の菊池まゆみさん(42)は元産婦人科の看護師で4児の母。全員帯広で出産した。「出産近くになれば健診は毎週あるし、しっかり自己管理をしていれば大丈夫」と話す。「リスクを恐れていてはだめ。子供を授かることは素晴らしいこと。距離があるからといって産むことに臆病(おくびょう)にならないでほしい」と訴える。

 予定日まで20日ほどに迫った平岡さんは「いろいろある悩みも出産の一部と割り切るしかない。今は無事に産むことだけを考えている」とほほ笑み、大きくなったおなかにそっと手を添える。(北雅貴)

(題字は長沼透石氏)

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