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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.01.14] >>> 目次ページに戻る
遺骨を海にまく自然葬。NPO法人葬送の自由をすすめる会北海道支部は昨年、道内で15人を海で葬った(同支部提供)
10. お墓



見直される埋葬の形
自然葬や生前墓
「自分らしく」

 粉末状にした焼骨を森の中で参列者が一人ずつ地面にまく。最後に近くの川の水をかける。「白い粉がすーっと土に染み込んで消えた。人間はこうやって自然に還(かえ)るんだな、と感動しました」。十数年前、散骨(自然葬)に立ち会った帯広市の中川寿江さん(60)=仮名=は振り返る。

散骨望み入会
 自身も散骨を希望し、自然葬を支援するNPO法人「葬送の自由をすすめる会」(本部東京)に加入している。「十勝の人間だし、最初は山での自然葬を考えていましたが、今は海もいいなと思っています。世界中を旅できますから」と笑う。

 「すすめる会」の道支部によると、道内の会員は約430人。十勝でも帯広市などに13人いる。同会が実施する散骨は1993年以来74回を数え、144人を小樽沖や室蘭沖などに葬った。

 「墓地は高額」「死後は自分らしく」−。核家族化や少子化、景気低迷の影響もあり、埋葬の在り方も多様化してきた。埋葬場所に木を植える「樹木葬」、遺骨をロケットで宇宙に送る「宇宙葬」も始まった。遺灰の一部を宝石化するサービスまで登場している。

 とはいえ、こうした個性的な埋葬を希望する人はまだまだ少数派だ。「小規模業者が生き残りを懸けて手がけるケースも多く、粗製乱造で悪質な例もある」と葬儀関係者は打ち明ける。空知管内長沼町や岩見沢市では、散骨規制が条例化されるなど、社会問題化した。

墓守る子供いない
 一方、少子化などの社会現象は、十勝の墓石ビジネスにも影響を及ぼし始めてきた。「墓を守る子供がいない」と、納骨堂を選択する人が増加。「寺自体も檀家(だんか)確保のためか、納骨堂を薦めているようだ」と帯広市内の墓石業者は歯がみする。

写真と本文は関係ありません
 さらに不況や新規業者参入で墓石価格も急落。かつて200万−300万円台が主流だったが、最近は60万−80万円台が売れ筋だ。利益率も低下していて、「これからは縁起が良いとされる生前墓(寿陵墓)販売に力を入れたい」と、元気なうちからの「囲い込み」に活路を求める業者もある。

 「新興宗教に入るのかと、最初は主人に強く反対されました」と散骨を望む中川さん。「すすめる会」に入って15年以上たつが、「自分の希望を周囲に話すことができない。偏見も根強いですから」。

 それでも、散骨への思いを語る口ぶりは明るい。「死後の後始末を考えていたら、死ぬことの不安感が消えた。行き先も決め、ほっとした、というのが実感」
(長田純一、第1部おわり)

(題字は長沼透石氏)


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