WEB TOKACHI
十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.01.11] >>> 目次ページに戻る
患者の悩みや苦痛をいかに和らげるか。地域で支える体制づくりが進んでいる(帯広厚生病院のがん相談支援センター。右は小田島看護師)
7. 緩和医療



その人らしく生きる
体や心の“痛み”を
取り除きながら

 「地方では目を向ける余裕がなかった分野で、これで終わりということもきっとないはず。まずは各病院のノウハウを相互に把握し、ネットワークを築き上げたい」

研究会が発足
 昨年8月、十勝の緩和ケアのレベルを向上させようと発足した「十勝緩和医療研究会」(会長・川口勲帯広厚生病院院長)。事務局担当の菊池英明・同病院副院長(54)は「取り組みは緒に就いたばかり」と話す。

 帯広厚生、帯広徳洲会、帯広協会、帯広第一、北斗の5病院長で構成。十勝管内の全病院・診療所の医師や看護師、薬剤師らを対象に情報交換や症例検討会のほか、市民向け講座も開く。各病院・地域で緩和ケアへの理解を深めてもらう。

 医療技術が進歩した半面、治りにくい病気を抱えながら生きていく時間も伸び、患者の悩みも複雑になった。急性期(病気の発症直後や、症状変化が激しく臨機応変な医療体制が必要な時期)や術後、化学療法中、在宅、終末期−。各段階で必要な緩和ケアは異なる。

 特定分野で高度な知識と技能が求められる厚生労働省の「認定看護師」制度で、緩和ケアの資格を持つ帯広厚生病院の小田島綾子看護師(30)は緩和ケアを「がん以外でも、病気と診断された時から生じる患者や家族の社会的な悩みにも向き合い、その人らしく生きるためにトータルでサポートすること」と位置付ける。がん治療に伴う痛みや倦怠(けんたい)感を取り除くイメージが強いが、カバーする範囲は広い。

 医療法改正でインフォームドコンセント(説明と同意)の概念が盛り込まれたのが1997年。「治療は医師任せの時代から患者の選択肢が増える中、緩和を求める声も強くなった」(川口院長)といい、ニーズは急速に高まっている。昨年4月施行の「がん対策基本法」の推進計画でも重点課題に挙げられた。

 しかし、学会設立から約10年、日本初の緩和医療学講座が大学に設置されたのも昨年4月。体の痛みだけでなく精神面のケアも含めた「緩和」という行為自体、日本の医療界ではまだ日が浅い。

活動はこれから
 まして深刻な医師不足に見舞われている地方では、ニーズの高まりを感じつつも十分な体制整備に割ける余力はないのが実情だ。「急性期の最も高度な医療を目指して突っ走ってきた。その中で置き去りにされてしまった」。川口院長は医師としての自身の歩みと重ね合わせ、地方で導入が遅れた理由を説明する。

 限りある人生、与えられた時をいかにその人らしく過ごすか。それを支える地域の医療側の取り組みはまさに動きだしたばかりだ。
(高田敦史)

(題字は長沼透石氏)


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