WEB TOKACHI
十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
[2008.01.08] >>> 目次ページに戻る
ひと息の村で開かれたクリスマスコンサート。利用者やボランティアらが和やかに交流する
5. コミュニティ・ケア(下)



住民のボランティア
患者と社会つなぐ
大切な存在

ひと息の村外観
 豊かな「コミュニティ・ケア」を支える存在として不可欠なのが、地域住民によるボランティアだ。終末期患者の話に耳を傾けることで、患者に地域とのつながりを持たせ、最後まで社会参加が可能な環境を提供する。

住み慣れた場所で
 「住み慣れた地域で支えていくのが本当の医療だと思う」。福岡県行橋(ゆくはし)市の在宅ホスピス支援施設「ひと息の村」でボランティアを行う森口順司さん(65)は強調する。

森口順司さん
 在宅ホスピス支援を目的とするNPO法人「北部九州ホスピスケアの会」理事長を務める森口さん。週1回の音楽療法を手伝い、利用者と交流する。2007年12月25日に開かれたクリスマスコンサートでは、ボランティアが焼いたケーキを囲み、利用者が聖歌などを合唱。笑顔でコーヒーをいれる森口さんの姿もあった。

 「真剣に生きることを考えた」「いろいろな人と出会うことができた」。終末期患者は、病や生きることを肯定的にとらえ、家族ら周囲への感謝を口にする。「気持ちの受け止め方によって心が落ち着くことをあらためて感じた。教わることが多く、やりがいがある」。森口さんは心のケアの重要性を実感する。

 NPOは在宅での活動も視野にボランティア養成に力を入れる。みとった利用者の遺族を含め、同施設のボランティアは約20人。地域資源が循環し、ありのままの生や死を受け入れる環境が醸成されている。

十勝でも動きだす
 ひと息の村と同様の計画が十勝でも動きだしている。北斗病院(帯広市、橋本郁郎理事長)は医療や介護施設、アパート、地域住民も利用できる集会所などを集約した福祉村構想を掲げる。07年に在宅医療科を設け、第一歩を踏みだした。

山下浩介医師
 「ホスピスマインドがあれば、病気の種類や施設の有無は関係ない。大切なのは、患者のQOL(生活の質)を高めること」。同科部長の山下浩介医師(51)は語る。病気にかかった時点で緩和ケアを始め、精神的な不安を軽減するなど、患者の希望を支援する医療を目指す。

 自宅で死亡する人の割合は減少の一途をたどる。厚生労働省のまとめでは、1952年の81.3%(病院は9.7%)から、2006年は12.2%(同79.7%)に。医療関係者によると、6−7割は自宅で最期を迎えたいと希望しているにもかかわらず。

 山下医師は、在宅ホスピスの理念を地域に拡大したコミュニティ・ケアの重要性を指摘する。「日本は命を医療の問題ととらえ過ぎている。社会の問題として住民と考えていくべきだ。死はいつか、自分にも訪れるのだから」
(池谷智仁)

(題字は長沼透石氏)


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