WEB TOKACHI
十勝毎日新聞社
WEB TOKACHI
Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
>>> 目次ページに戻る
[2007.12.17]
グリーンツーリズム
人と触れ合う“心のふるさと”観光を
 「北海道の中で、一番北海道らしい景色」。十勝を訪れて、こんな感想を持つ人は少なくない。

 果てしない大空と、広い大地のその中で−。

 松山千春さんのヒット曲のように、澄んだ青い空や地平線まで続く田園風景が、抱いていたイメージと重なるのだろう。

「滞在と体験型」可能性の宝庫
 関西出身で、退職して札幌市にIターンした鈴木宏一郎さん(42)=写真=も、そう感じる1人だ。

 今春、体験型観光の検索、予約サイトを運営する北海道宝島旅行社を立ち上げ、自身も何度も十勝の農村に足を運んでいる。「フィールドとしても、人間の気質としてもグリーンツーリズムに適している」。恵まれた自然環境と管外出身者も受け入れる土壌、風土を挙げ、太鼓判を押した。

 グリーンツーリズムは、農山漁村を訪れて、地域の自然や文化、産業、人々に触れながら余暇を過ごす旅のかたち。管内では、十数年前から一部農家が取り組み始めた鹿追町など、西部を中心に盛んになった。農業体験や農家への宿泊、農家レストランなどがそろい、半年前から予約が入るような人気施設もある。

青空と広い大地などの自然環境は十勝の大きな魅力。農作物の収穫体験(右上)やファームステイ(左上)を組み合わせたグリーンツーリズムは都市住民の思い出づくりになる
すそ野広げた地域の連携を
 ただ、農業生産高のある地域では、観光への取り組みを理解する農家はまだ少ない。同町で11月に開かれた管内組織の交流会で、出席者から「すそ野をもっと広げ、町村ごとよりも十勝全体を考えたビジネスチャンスにしたい」との意見も出た。担い手が連携して客を呼ぶ体制づくりが広がらないのは、10年前と共通する課題だ。主催した道グリーンツーリズムネットワーク十勝ブロックの黒川二郎代表世話人は「将来的にはネットワークの窓口をつくる必要がある」と話す。

 「ファームイン(農家民泊)でも、写真を撮る場所を提供するだけでもいいので、賛同者を増やしてアイデアを出させること」と提案するのは札幌国際大学の森雅人教授(地域社会学)。

 アウトドアや温泉も含めた、車で効率的に回り、滞在できるコースづくりを求め、「山も海もあるコースができるのは十勝しかない」と語る。「景色だけでは観光の“メーンディッシュ”にならない」が持論の鈴木さんは「メーンを人との交流に置けば、客はもう一度会いに来てくれる」と助言する。

都会の旅人から絶対あるニーズ
 都会生まれ・都会育ちの層には、土や人と結びつきたい家族がいる。

 その人たちが求めるメニューを提供して、思い出づくりをサポートできれば、交流人口は増えるはず。「一番北海道らしい十勝」は、ふるさとを喪失した札幌圏や全国の人たちにとって、「心のふるさと」や「第二のふるさと」になる可能性を秘めている。

 物見遊山から滞在型へ、団体から個人へと、旅行や余暇の過ごし方は変化し多様化している。「ターゲットにこだわりをしっかりと伝えること。市場ニーズは絶対ありますよ」。鈴木さんは大きくうなずく。
(安田義教、おわり)


>>> 目次ページに戻る
(C) TOKACHI MAINICHI NEWSPAPER >>> WEBTOKACHI トップ