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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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[2007.12.12]
エネルギー王国
BTLで世界的バイオ燃料基地
 「間伐材や家畜ふん尿といった資源が豊富な十勝に適したバイオ燃料であるBTL(バイオマストゥリキッド)で、十勝は世界的なバイオ燃料基地を目指すべきだ」

 環境・エネルギー分野を専門とする慶応義塾大学大学院の金谷年展教授=写真=は、BTL普及による十勝のエネルギー基地化に太鼓判を押す。

 近年、十勝では各種バイオエネルギーに関する取り組みが広がりを見せている。

 BDF(バイオディーゼル燃料)では、各地の消費者団体や学校で廃食用油の回収が行われ、路線バスや公用車にも活用。原料となるナタネ栽培も進み、2008年度には豊頃町で本格的な燃料化工場の操業が始まる。また09年3月には、清水町にバイオエタノール実証プラントも完成予定で、ビートや規格外小麦を原料に年間1万5000キロリットルの生産を見込んでいる。

新分野先駆的に研究と開発
十勝で普及が進むバイオ燃料は、豊富な資源や民間の活動が下支えする(左から時計回りで、収穫されたナタネ、木質ペレット、バイオエタノール原料にもなるビート、BDF用の廃食油回収風景)
 バイオマス(生物由来資源)を使った新エネルギー分野の研究・開発に先駆的に取り組む十勝は、国内他地域をリードしているといっても過言ではない。十勝圏振興機構(とかち財団)食品加工技術センターの大庭潔研究開発課長は「いずれも農業と工業が連携したビジネスモデル。期待は大きい」とする。

 ただ、BDFならナタネ、バイオエタノールならトウモロコシ、小麦など農作物を原材料とする場合がほとんどで、これらは食料と競合して穀物価格の高騰を招く恐れがある。原料となるバイオマスによっては多量の化石燃料を消費してしまうケースの多い点も課題だ。帯広畜産大の西崎邦夫特任教授は「バイオマス社会構築のためには、エネルギー、食料、環境の3問題を高いレベルで同時に考える必要がある」と指摘する。

 この課題の解決策として、金谷教授が推奨するのがBTL。BTL原料は食料などと競合しない木くず、麦わらなどのセルロース系が主役。仮に国内の乾燥系バイオマスをすべて使った場合、年間約500万キロリットルの合成軽油が精製されるとする。

 さらに「資源作物を加えれば、より多くのBTLを確保でき、最先端クリーン技術搭載のディーゼル車に使うと、ガソリン車に対し約95%の二酸化炭素排出量削減につながる」(金谷教授)。効率と環境効果の高さ、豊富な資源量でBTLの優位性を強調する。

環境に優しい資源の萌芽
  一方、十勝にあるさまざまな資源を背景に、十勝には、エネルギーの芽がいくつも出てきている。

 例えば足寄町などで生産されている木質ペレットや、帯広の民間会社が開発した牛ふん堆肥(たいひ)を固形燃料化した牛ふんペレットも、環境に優しい暖房燃料として、原油高騰と相まって脚光を浴びてきた。

 さらに十勝・日高沖を含む日本近海の海底に大量に分布している「メタンハイドレート」は、埋蔵量が日本の天然ガス使用量の100年分(独立行政法人・産業技術総合研究所試算)とされ、新たなエネルギー源として夢は広がる。

 十勝が豊富な資源を背景に、環境に優しい新エネルギーを実用化し、その供給基地となり得るならば、食料基地の地位とともに、国内における地域の存在感・重要度が増すことは間違いない。
(清水生)

BTL(バイオマストゥリキッド)
原料となるバイオマスを熱分解によりガス化させて合成ガスとし、液体燃料に仕上げた軽油代替燃料。木くず、麦わらなどの乾燥系資源を中心に、原料となるバイオマスを選ばないのが特徴。すでにドイツのダイムラー社が実用化している。

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