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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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[2007.12.11]
大樹から宇宙旅行
☆☆☆
地球規模の 3つ星 観光地
 「宇宙基地になれるというのは、世界観光の3つ星候補。外国からも客が来る地球規模の『3D観光地』になる」。

2020年代にロケット交通時代
 NPO法人「北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)」(札幌)の伊藤献一副理事長(北大名誉教授)=写真=は、来たるべき宇宙時代に向けて、道東海岸部、中でも“宇宙のまちづくり”を進める大樹町が持つ可能性を高く評価する。

 未来の夢でなく、近い将来の課題として伊藤氏は提言する。「2020年代には交通手段としてロケットを使う『宇宙交通』時代が実現する。宇宙ビジネス、将来の宇宙交通ネットワークから外れないように日本は備えるべきだし、大樹はもっと利点をPRしていい」

先進米国に次ぎ「日本十勝発」
大樹から宇宙へ−。夢物語は実現へと着実に歩みを進めている(北海道全体を見渡せるXP機のイメージイラストと、CAMUIハイブリッドロケット、実験用飛行船、飛行船格納庫、上空から見た大樹の滑走路=中央上から時計回り)
 宇宙先進国のアメリカでは今、“スペースシャトル後”をにらみ、商業宇宙旅行や宇宙往還用の有人宇宙船から、滞在用の宇宙ホテルまで、民間企業による開発競争が過熱している。

 HASTICが業務提携する「ロケットプレーン・グローバル社」は現在、6人乗り(乗客5人)の有人宇宙船「ロケットプレーンXP」を開発中で、2010年までの商業飛行開始を目指す。

 上空100キロで3分間の無重力を体験する宇宙旅行のお値段は1人約2000万円。すでに50フライト分が完売し、日本人も5人ほどが申し込んでいる。そして、次に同社とHASTICが構想するのが、「大樹発」の宇宙旅行実現だ。

 「上空100キロの視界は直径で約1000キロ。北海道が丸ごと見える」。大陸のアメリカでは体験できないスケール感が売りになる、と関係者は考える。何より東側に海が開ける地形や安定した気象条件が、大樹最大のメリットだ。

 さらに北緯42度の大樹からは、国際宇宙ステーション(軌道傾斜角=赤道面との角度=51度)や計画中の宇宙ホテル(同40度)に少ないエネルギーで行くことができると伊藤氏は言う。「人間の居住地域を見るにも40−45度が一番。サポートする技術力を考えても、宇宙に行く最適な場所は大樹しかない」

 2000万円をポンと出せるような、世界中の“お金持ち”が宇宙旅行を求めて十勝に来て、フライトまで滞在する。及ぼされる経済効果もまた、計り知れない。

銀河の森天文台世界認知の施設
 HASTICが結ぶ各大学や民間企業など、宇宙時代に向けた研究・技術力も高める北海道。十勝にも、世界規模で認知される研究施設がある。

 陸別町の「銀河の森天文台」は、観望会に町内外から天文ファンが訪れる観光地であると同時に名古屋大太陽地球環境研究所と国立環境研究所の付属施設も併設する。

 主に成層圏、対流圏の大気やオーロラ観測・研究を行うアジアの重要観測地であり、昨年には同町内に極東初の「短波ドップラー・レーダー」のアンテナを設置。人工衛星の計器故障や航空機の通信障害などを招く超高層大気の電圧変化を継続的に監視している。田中芳美副町長は「専門家と地元住民の交流も生まれ、『観光』『研究』の両分野が融合した相乗効果がある」と今後の整備に期待する。

 「町だけでなく、十勝全体にとって大きな効果がある」。大樹町の伏見悦夫町長は、航空宇宙産業の基礎実験に貢献してきたこれまでの取り組みの先に、次のステップが来ると信じる。十勝が宇宙ホテルの玄関口になる日も、夢物語ではない。
(小林祐己、丸山一樹)

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