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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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[2007.11.10]
未来への力
市民が「自立と団結」 街再生へ

 晩秋の冷たい風が吹く中を、工具やほうきを手に集う人々。破綻(はたん)後に閉鎖された市民会館の復活へ、市民自らが整備、清掃に励む。「自分たちの手で」−。市民は再生に向け「自立」が不可欠だと認識を始めた。「窮地から生まれた団結力は強い」参加者の1人でもある、市芸能協会の福田實会長(69)は驚く。

 「国際ファンタスティック映画祭」会場でもあった同会館は、NPO法人を会館貸与の受け皿に、文化団体主体での運営継続が決まった。館内は一時野ざらしとなったことで雨漏りも生じるが、企業の無償支援も背に、防水シート張り付けなど、補修を急ぐ。平均年齢65歳超とは思えない手際の良さだ。

市民会館復活や 行政サービス代替
放置された旧炭鉱住宅の解体処理に励む真谷地の住民。高橋孝善町内会長は「自立」の重要性と、市民一丸により生まれる力の大きさに手応えを感じている
 破綻後、市助成金がカットされる中、新規団体を含め計40を超えるボランティア組織が、行政サービスの代替や、まちづくりに一役買っている。

 旧炭鉱住宅が密集する真谷地。炭鉱会社が施設処理を市側へ丸投げしたため廃屋が並ぶが、市街地町内会(構成24戸)は無償で解体を始めた。高橋孝善町内会長(74)は「住民が動かなければ変わらない」と前を向く。また、市社会福祉協議会は、市の委託を受けて人工透析患者の市外送迎を開始した。力みなぎる市民の姿が見られ始めた。

かつて破綻のJAメロンで起死回生
 破綻が街全体に暗い影を落とす中、元気な組織がある。JA夕張市だ。過去に財政が破綻し、51年、「再建整備組合」に陥った同JA。当時、起死回生を狙い注目したのが付加価値の高いメロン。品質管理を徹底しブランドを構築、安定経営を続ける生みの親の豊田祐一さん(88)は「手厚い行政支援もない中、農家の団結で乗り切った」と振り返る。街のもう1つの「破綻」の歴史は「自立と団結」で再生を実現させていた。

 市政は、再建計画に基づく一定の制約があり、市民、議会の声が反映されるのか未知数な部分は多い。ある市民は「住民不在の行政になる」と懸念もする。だが市民26人による「ゆうばり再生市民会議」メンバーの1人、上木和正さん(57)=写真=は「国、道のしがらみのある市政だからこそ、縛りのない市民の存在は大きい」と力を込める。

 同会議は、積極的に行政に参加する市民の動きに手応えを感じている。市民側が行政をどう監視するか、課題は多いが、松宮文恵さん(60)は「問題を放置する従来の姿勢ではダメ。不透明な部分は正す」と、まずは情報公開を明快にするよう求める姿勢だ。

“予備軍”十勝も例外ではない
 道の調査で「再建団体転落の可能性がある」と50を超える市町村が公表されるなど“夕張予備軍”も控える道内。十勝も対岸の火事ではない。同会議の園泰子さん(56)は「破綻という高い授業料は払ったが、取り組みがほかの自治体の新たな指針となれば」と語る。十勝の自治体も夕張の財政破綻に学び、自らの地域を再考する時にきている。
(おわり)

 (この連載は、安田義教、松村智裕、清水生、丸山一樹、広田実、安福晋一郎、塩原真、桜庭弘子が担当しました)


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