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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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[2007.11.07]
破綻の今
40代市職員 手取り13万円

 10月も半ば、財政再建団体入り後、初めての冬が近づく夕張市内。「この辺に住むのは年寄りばかり。小さな道の除雪はどうなるのかね」。  夕張市若菜地区で飲食店を営む女性(80)は、落ち葉舞う道端を見詰め、不安げにつぶやいた。「つぶれるとか、壊すとか、そんな話ばっかりさ」。周りの店は今、数えるほどしか残っていない。

全国で最低の住民サービス
財政再建団体に転落して8カ月がたった夕張市。人口はピーク時の10分の1ほどに減少し、市役所に近い中心市街地にも人影は少ない
 「自力での再建は困難で、法の下での再建に取り組む決意をした」

 2006年6月20日。市議会で後藤健二市長(当時)は、国の管理下で財政の立て直しを進める財政再建団体に移行する考えを表明した。

 炭鉱閉山後の処理負担と観光事業への過大投資、不適正な財務処理手法で膨らんだ市の借金は、約353億円。それを18年間かけて返す財政再建計画の下、市税が引き上げられ、下水道使用料金は1000円近くアップした。「全国で最低の住民サービス」。4月に当選した藤倉肇市長は、同計画の厳しさを訴える。

 将来に不安を抱えているのは市職員も同じだ。歳出削減策の一環で、職員給与は大きく引き下げられた。一般職の平均年収は640万円から400万円に。40代半ばのある男性職員は、月の手取りが13万円にまで減少し、共働きである妻の扶養に子供を入れた。

 こうした状況を受け、予想を上回る早さで退職者が増えている。昨年度200人以上いた一般行政職員が、今年度初めには127人となり、市の退職希望調査によると、来年度にも100人を割る可能性が出ている。

 4月以降も退職者が相次いでいるせいか、市庁舎内には使われていない席が目立つ。「小さな子供がいたりローンを抱える人は、辞めるのも仕方ない面はある」。50代の管理職は理解も示すが、行政サービスの低下が懸念されている。

“転落後”  後絶たぬ視察
 「夕張市長は代々、財政健全化計画を立てざるを得ず、財政は常に後追いだった」。道路や住宅など社会基盤の整備、閉山後の処理対策、観光投資と、戦後の夕張市政が抱えた課題について、中田鉄治元市長4期目の助役を務めた長岩勝雄さん(74)=写真=は振り返る。

 07年3月、ついに国の財政再建団体に転落。今、全国の議会関係者や一般企業など、視察は後を絶たない。「破綻(はたん)した夕張が貢献したことは、他の自治体に『第二の夕張にならないように』と危機感を持たせたことかな」。自嘲気味に語る藤倉市長。だが訪れる人は「最初に破綻した夕張はまだ恵まれている。『第二の夕張』には注目も集まらず、寄付も来ないだろう」と、より強い危機感を募らせる。
(年間キャンペーン取材班)

 <夕張市>
 空知炭田の中核で「炭都」と呼ばれ、国策の下、戦前、戦後の日本を支えた。だが、1976年の新石炭政策で、安い海外炭に押されて国内炭の需要は減少。90年、最後の炭鉱が閉山。その後、市は観光都市への道を歩み始めた。国のリゾート振興とも合致して積極投資を続けたが、バブル崩壊後は観光客が伸び悩んで赤字は増大。人口は60年の約11万7000人がピークで、10月末現在、1万2270人。


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