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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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[2007.08.25]
年間キャンペーン第3部 「検証!!帯広市」番外編
見えぬビジョン 市長は決断と行動を



 地方自治体の生き残りの知恵と戦略を探る十勝毎日新聞社の2007年の年間キャンペーン「まちの力」。20−24日の第3部では、人口減少、厳しい財政、続く企業倒産など負の症状が広がる帯広市の現状を考える「検証!!帯広市」全5回を掲載した。地元政財界などさまざまな関係者の声を集め、帯広の“病”を取材した記者が、取材を終えての感想、意見を語った。
(植木康則、小林祐己、安田義教、松村智裕、丸山一樹、清水生、安福晋一郎、桜庭弘子)

キーワードその1 リーダーシップ欠如 官僚体質で停滞 積もる不満

  取材を通して、与野党、政財界問わず、これほど異口同音にリーダーシップ不足を語るのには驚いた。インタビューでも語るのは抽象論ばかりで、市政を預かる“プロ”としての自覚が見えない。もっと具体論があっていい。

  「今やっている」「努力している」という発言が、官僚体質そのもの。スケジュールを示し、進ちょく状況が見えてこそ「やっている」といえる。成果が見えなければ何もやっていないのと同じだ。

  今回の企画は厳し過ぎるのでは、という見方も一部にあるが、各界の声なのは事実。景気の悪化など外的要因もあるが、10年目となる砂川市政の停滞感に対する不満が、裏ではかなりたまっていると感じた。

  町村との関係で、町村長から「胸襟を開かない」と指摘する声が圧倒的。複数の町村長から「観光や経済基盤など、あれだけの財産があってもったいない。1期でいいから自分にやらせて」という声も聞いた。

  帯広には町村に対して、何か19分の1であろうと身をかがめるところがある。でも規模が違うのだから、おれが引っ張るという場面はあってもおかしくないのだが。

  砂川支持者は「市長はパフォーマンスが下手」というが、民間は必死で頑張っている。市長は「社長」。下手でも行動で示してもらわないと市民に“必死さ”が伝わらない。

  ある市議は「病気の自治体は帯広市だけではない。病気の原因は国」と言った。でも「みんなそうだから」では、自治体首長などいらない。

  決断力とやりたいことが見えない。だから「何もしていない」と映る。ある町長は「反発もないが協調もない。不鮮明さが砂川カラー。黒と白以外ならどんな色にでもなれる」と皮肉った。

  どう独自性を示すかが、為政者の腕の見せどころ。右肩上がりの時代なら良かったのだろうが、今の厳しい時代、トップにリーダーシップがないとジリ貧になる。これは企業も役所も同じだ。

  今は「乱世」。能力ある、大胆にやる「政治家」が必要。砂川市長は選挙で1001票差で勝ったからこそ、思い切りやればいい。

キーワードその2 先送り、丸投げ体質 方針不明で無気力な職員

  ばん馬の赤字、大学問題、そして合併。すべて重要案件は先送りだ。

  町村は市に合併で音頭を取ってという。でも砂川市長は、町村からボールは投げられていないと、相手からアクションがない限り動かない。

  幹部だった市職員OBらに聞いても「出たときには何かしたいことがあったのだろうが、結局全く分からなかった」と言うのには驚いた。

  優秀で、まちを良くしたいという人が市役所に入っても、それが反映できていない。あるOBは「役人はトップが方針を決めてくれればその実現に全力で動く。でも上の考えが分からないと動きようもない」と言っていた。

  今の市職員はかつてないほど無気力。余計なことはしないという空気が漂っている。

  大学問題は職員すら「市長がやりたいのかどうか分からない」という。熱意が感じられない。市長と会った大学の関係者も「本当にうちに来てほしいのか真意がつかめなかった」と話していた。

  大谷短大との公私協力方式を切ったのは砂川市長。切った後、何もしていない。

  「砂川さんは本ばかり読んでいる」との声もあった。読書は悪くないが、これは庁舎を回っていないという指摘。たしかに市長が会議以外で一般のフロアを歩いているのを見たことがない。議員と対話せず、会派回りもしない。記者クラブにも来ない。両副市長と対照的だ。

  現場で職員ともっと話すことが必要だ。

  「やっている」という市長の言葉をうのみにし、結果的に引き下がる市議の責任も大きい。市民もオンブズマンなどをつくり、市政に関心を持って、声を出す必要がある。

キーワードその3 低い危機意識 人口減にも無策 町村との連携欠く

  「砂川さんは何も悪いことしていないのに」と思っている人は多い。でも良い悪いではなく、何もしないのが問題。

  人口対策でもそうだ。人口問題で市長は「少々人口が動いてもいずれ帯広圏が1つになれば問題ない」との発言をしている。人口減は税収減。目減り分をどこで補うつもりなのかが見えない。

  合併は当面しないと言っているのに、この説明こそ場当たり的。施策間の横軸が通っていない。

  十勝にもう1つ別の市があれば違うのでは。もし帯広圏のほかの3町が合併して市になったら、危機感を持つかも。

  経済的には「道内では帯広は良い方だ」とよく聞くが、低いレベルで争っても仕方ない。都市経営という視点を市長、幹部が持たないと。まして市役所は“大企業”なんだから。

  高速道開通は将来の十勝を考えると、相当大事なターニングポイント。

  町村は一緒に対抗策を考えようと思っているが、市に準備がない。

  人を呼び込むには町村と協力することが必要なのに、こんな状態。町村長との連携がないというのは、何をするにも帯広にとって致命的。

  帯広には道の駅もない。ばん馬振興の話でも道の駅が必要という声は強かったが、動きはない。周辺町村の道の駅には人が入る。帯広は人を立ち止まらせる工夫がない。

  交流人口が増えて金が落ちるようになれば、飛行機の便や工場進出など経済の好循環が生まれる。1つ何かが回ればいい方に向かう。チャンスを生かせば発展の可能性はある。ある観光調査で、十勝の魅力は道内最低。帯広がルートを結ぶ協議をする場をつくるとか、手を打ってほしい。

キーワードその4 市長への提言 求められるトップセールス

  とにかく施策が場当たり的に決められてきた印象を受けた。帯広の人口減少に対しては、帯広圏で増えており、枠組みが変われば帯広の人口になるとする。では合併するのかと問えば、熟度が達してないという。

  単体では言っていることは分かる。だがそれぞれの発言を合わせると矛盾がある。その矛盾は解決されていない。それが「ビジョンがない」ということだ。

  市にはたくさんの計画はある。ただオリジナリティーのあるものが少ない。21世紀版「砂川ビジョン」が見たい。公約とかじゃなく、数値目標などを示してほしい。

  「砂川市長の実績は」と市職員OBに聞いたら、「行革は一定の成果を出した」と言う。行革は確かに実績だが、時代が後押しした面は強い。同時に夢も語ってほしい。

  市長に1つ提言するなら。

  帯広のトップセールスマンとして、汗をかいてほしい。企業誘致には欠かせない。

  母都市のトップとして、とにかく町村長と仲良く。

  自分のやりたいことの実現のため、市民や職員らにがむしゃらさをみせて。

  観光振興、企業誘致、新たな大学設置など、砂川市長は大事だと言っているが、どう実現していくのか。優先順位を付けて行動してほしい。

  帯広市が生き残るための戦略をどう描くのか。市長の考えを示してほしい。
予告…第4部は夕張市を特集します

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