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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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5.  危機意識欠如
ジリ貧脱却へ 市長は戦略示せ
[2007.08.24]
 「開通まで時間がないのに、これまで『開通後』の議論が何一つない。ただ座して、何かが起こってから動くのが市のパターン。危機意識の欠如だ」

 管内政治関係者は、2011年の道東自動車道(道東道)夕張−清水間全面開通を前に、市の感度の鈍さにいらだちを隠さない。高速道という“ストロー”で購買客や観光客、ビジネスの流動性が高まり、管外に流出する、「ストロー現象」が予想されるからだ。

 農業と建設業によって支えられてきた十勝経済。公共事業の減少で、建設業は後退し、企業倒産はこの10年で、過去最多のペース。第三の産業にと関係者が期待をかける観光も発展途上の一方、人口減少が進み、帯広中心商店街の衰退も目を覆うばかりだ。

舗装工事が終わり標識などが取り付けられている道東道十勝清水IC付近。札幌圏と十勝を結ぶ高速交通網の整備が進む一方、「開通後」をにらんだ帯広市の対策は遅れている
期待の観光も対策は不透明
 道東道全線開通は、長年にわたる十勝の“悲願”。「地域にとって喜ばしいこと」(市政策推進部)と市側は歓迎するが、同時に開通による地域経済の地盤沈下も懸念される。都市間の綱引きに勝利するための重要な“武器”にしようとの戦略がみえてこない。

 市は今月ようやく、観光と農業、物流、建設などを担当する関係部課による研究会を設置するが、すでに準備を進めている道菓子工業組合十勝支部など民間の動きに比べ、腰の重さが目立つ。

 「魅力ある帯広にするために、市長がどうしたいのかが、分からない。何も考えていないのではないか。現場を歩いて声を聞いていない。もっと職員や関係者とコミュニケーションを密にして、知恵を出し合う必要がある」と与党系関係者は提言する。


空路ダブル化無策が露呈
 地域間競争を勝ち抜くための危機意識のなさは航空行政にも表れている。インフラのもう1つの柱、とかち帯広空港の帯広−東京線のダブルトラッキング化(同一路線2社乗り入れ)に向けた誘致活動の相次ぐ“遅れ”だ。

 昨年2月に東京線が就航した女満別空港との誘致合戦では「帯広・十勝の観光戦略・政策の無さが、持ち越しという形で露呈した」(ある経済関係者)と手厳しい。知床の世界遺産指定の追い風はあったものの「路線新設に見合った利用客数増の計画など、エア・ドゥが望む提案ができなかった」とある市議。「通り一辺倒のことしかやっておらず、真剣味がなかった。首都圏から客を呼び込んで何を見せるか、何ができるか示せなかった」と不満をぶつける。

 ある野党系市議は、市の課題の背景をこう指摘する。「空路が減っているのをすべて周りのせいにするなど、観光1つ取っても、市は何も手を打っていない。全国の地方自治体は今、どこも一定の“病気”にかかっている。問題はそれにどう処置するかなんだ」

 帯広の将来目指すべき方向性が、明確に市民に伝わっていない現状で、生き残りを懸けて、帯広は何を柱に据えていくのか。今こそ強みを徹底的に議論し、市民に戦略を示すべきだ。(おわり)

 (この企画は小林祐己、植木康則、安福晋一郎、松村智裕、安田義教、丸山一樹、清水生、桜庭弘子が担当しました)
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