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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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[2007.06.12]
清水 <上> 教育
少人数学級  特区認定で実現

 「ハーイ、ハイ!ハイ!」−。担任の板書中に騒ぎ出す児童に、補助教諭が素早く横に座ってフォロー。児童は落ち着きを取り戻し、授業は円滑に進んでいく。

 清水小学校の2年生は59人で3クラス。目を引くのは教室の広さと、教諭と児童の距離の近さ。「1人ひとりの様子が手に取るように分かり、先生の対応も自然ときめ細かになる」。坂田幸義校長は語る。

 低学年は1クラス20人程度の少人数学級を実現させた清水町。農業と第九のまちが「教育先進地」として脚光を浴びることになったのは、現場経験38年・横山一男氏=写真=(幕別中校長で退職)の教育長就任と、関係者のぶれない信念だ。

新教育長登用で小規模校再編
 小・中学校一律40人の学級編成に疑問を抱いていた横山氏を、清水中・高校同窓の高薄渡町長が登用。2001年4月、着任した横山氏が最初に手掛けたのは「小規模校再編」だった。

 「町長、お前のクビ飛ぶかもしれないぞ」。高薄町長は、当時周囲から“警告”があったと明かす。地域にとって学校はコミュニティーの中心。廃校は地域崩壊にもつながる。民選の首長にとって“パンドラの箱”だった。

 「教育長にすべて任せる」。横山氏は町長の同意を得て、当時の安藤国廣学校教育課長とともに、正面突破の思いで地域に入り、説得を試みた。

 小学校8校を2校にする統廃合案は、意外にも受け入れられた。ただ1つ、地域との約束は「学びの環境を小規模校と同じくする」。横山氏らは少人数学級実現に突き進んだ。

クビ覚悟で正面突破の道
少人数学級を実践する清水小学校。子供と教諭の距離の近さで、きめ細かな指導が行き届いている
 「少人数指導なら応援する」
 文部科学省が提示したのは、クラス編成は現行通り2つで、学習時だけ3グループに分ける方法。「学習集団と生活集団の一体化がないと社会性も養えない」と打開策を相談しても袖にされ、構想はいきなり行き詰まった。

 ところが03年2月、道教委との協議で、構造改革特区の活用が浮上、実現に光が差す。道教委からも「少人数指導」を勧められたが、リスク覚悟で初志貫徹の道を選んだ。

 ひな型なし、すべて手作りの申請書。「効果を数字で示せ」「なぜ3クラス必要なのか」…。出すたびに総務省特区担当者から矢継ぎ早の質問。「何度文書を書き直し、メールでやりとりしたか分からない。毎日電話が鳴るたびにドキッとした」と安藤氏は振り返る。

 4月20日の認定には漏れたが、5月25日、少人数特区を申請した9自治体中、清水町を含む4自治体が認定を受けた。

教師も地域も意識に変化
 認定後、学校が変わった。年間の視察はマスコミ取材も含めて60回を超えた。「常に誰か見ている」状況となり、先生の意識も変化。地域も学校教育を手伝おうという雰囲気が生まれた。読み聞かせや本の修理、折り紙、お手玉など「スクールサポートボランティア」は、少人数学級をきっかけに広がった。

 2つの“正面突破”がつくった少人数学級への道−。「たかだか1万人の町。みんなが教育にかかわって、教育の香りがする町にしたい」。横山氏の思いは今、着実に芽生えている。
(植木康則)


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