WEB TOKACHI
十勝毎日新聞社
WEB TOKACHI
Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
>>> 目次ページに戻る
[2007.06.05]
本別 <下> 福祉
認知症ケア 隣近所のつながりで

支援員が訪問 お年寄りの笑顔
 「子供を8人育てるのは大変だったよ」

 「立派に全員を高校に行かせたんだよねぇ」
 支援員の鎌田きくゑさん(73)は、訪問先の女性(94)の話に優しく相づちを打っていた。

ボランティアが認知症高齢者宅を訪問する「やすらぎ支援事業」。会話を通した情緒の安定、介護者支援としても期待されている
 本別町が町社会福祉協議会に委託する「やすらぎ支援事業(認知症高齢者見守り支援事業)」。介護度、認知症の症状もさまざまな10人が利用。ボランティアの支援員は週1、2回程度、話し相手など、介護サービスを補完する役割を担う。

 中心市街地の南に位置する柏木町自治会(泉野健会長)。2年前から毎月開く認知症予防教室には、毎回数十人が集まる。自治会内の担当者が、見守りと勧誘を兼ねて1戸ずつ回った成果だ。レクリエーションや昼食で半日を過ごした男性(66)は「皆と交流するのは最高にいい」と笑顔を見せた。

町民へ意識浸透 地道な苦労も
 本別町が進める認知症高齢者の地域ケアは、開始8年で道外にも知られるようになった。2006年度は大阪や宮城の町議会が視察に訪れ、道内外のシンポジウムや研修会には職員が招かれて実践報告した。

 「住民をどう巻き込むのか?」。よく出る質問だ。町地域包括支援センター所長補佐の飯山明美さん(46)は「認知症を課題と考え、地域の人と合意していくのには時間がかかった」と打ち明ける。

 「医者が治せないものを、私らが治せるわけがない」「地域に問題を振られても困る」。病気や症状への理解不足から、当初は町民から批判の声も出ていた。

 そこで町福祉課では、住民対象に学習会や創作介護劇を通して理解を促し、健康相談の場でも認知症の話をした。自治会に保健師が出向いて予防教室も開いた。独自の支援事業でモデル地区を指定し、活動をバックアップした。

 「話を聞くと、治すのじゃなく脳を活性化させて、もの忘れを遅らせることだった」と泉野会長。地道な取り組みが、「上(行政)が旗振るだけじゃいけないが、頼ってばかりもいられない」との町民の意識を高め、協力者を増やした。

 高橋正夫町長=写真=は「一番大切なのは隣近所のつながりだと思う。開拓時代の原点に戻って皆でやっていこうと投げ掛けたら、町民が応えてくれた」と話す。

日本一心の温かい町を将来の姿に
 昨年8月の介護保険推進全国サミット。成功は収めたものの、認知症の理解が町全体に広がったとは言い切れない。認知症高齢者の早期発見や見守りを求められる自治会は、「個人情報保護だ」と、町から所在把握のための名簿を示されずに苦労している。

 人口減と高齢化に直面する本別町にとって、認知症ケアに代表される福祉事業の結果が、そのまま将来の町の姿に表れる。高橋町長は語る。「大きな町では行き届かず、本別だからできることがある。安心して暮らせる日本一心の温かい町を目指したい」
(安田義教)


>>> 目次ページに戻る
(C) TOKACHI MAINICHI NEWSPAPER >>> WEBTOKACHI トップ