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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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[2007.01.08]
5. 子育ての力
「少子化の今こそ産み育てやすい環境を」
親の声 形にした保育園

 「女性が社会進出する中で、安心して子供を預けられる場所でありたいと思った。親の声や悩みをできる限り聞き、反映させようと動いてきただけ」

 小松市内の私立「よしたけ保育園」。長戸英明園長(58)=写真=は淡々と語る。25年前、園児わずか6人で始めた同園は現在、総園児数336人と市内最大規模を誇る。働く父母の信頼を集めたのは、長戸園長のぶれない信念だ。

女性就業率高く出生率も安定
 大手企業コマツやジェイ・バスなど機械メーカーの工場が集積する企業城下町・石川県小松市。女性(15歳以上)の就業率(2000年)は53.8%と全国平均46.2%に比べ高い。

 企業は今も常に労働力を望み、女性は子供を産んでも働ける受け皿がある。市の2000−04年平均の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)は1.54。県(1.39)の数字が減少傾向の中にあって、5年間、数値はほぼ変わっていない。

親のニーズに対応したサービスで評価が高いよしたけ保育園
 市内の39保育所、8幼稚園(公立・私立含む)。この中で長戸園長は、独自で支援の充実に力を注いだ。他園に先駆け1982年から取り組んだ延長保育や0歳児保育、保護者の意見や悩みを紹介する「いどばた新聞」、携帯電話のメールによる育児相談…。「きめ細かく使い勝手の良いサービスが多く、さまざまな場面でとても助かります」。3歳の長男を預ける横山典枝さん(34)は喜ぶ。

 父母のつぶやきは、すべて形にした。アイデア園長として注目を集め、06年1月には猪口邦子少子化・男女共同参画担当大臣(当時)が同園を視察するなど、「子育て先進保育園」として、認知度は一気に高まった。

絵本専門図書館や医療費無料充実
 中心的な役割を担う同園は、市を“動かす”存在でもある。「よしたけ保育園は全国有数の保育園。良い事業は大いに参考にし、サポートもしていきたい」。西村徹市長(67)は語る。市も限られた財源の中で次代の担い手たちに目を向け、施策に創意工夫をこらす。

全国的にも珍しい絵本専用の図書館「空とこども絵本館」
 市国民健康保険の出産一時金支給額は第3子以降が60万円と子供の多い家庭に手厚い。06年7月には、全国的にも珍しい、市営の絵本専門図書館「空とこども絵本館」を開設。7000冊の絵本を所蔵し、親子連れなどでにぎわっている。

 市は、小松市次世代育成支援行動計画に沿って、来年度、従来小学6年生までの小児科医療費無料を中学卒業まで引き上げ、08年には市内に病児保育施設を開設する予定だ。育児支援策の充実で、少子化抑制から人口増、子育てに優しいマチを掲げて都市間の競争力を高めようという、市の戦略が読み取れる。

 「民間は小回りが利いて発想が柔軟。行政は子育てのための施策に熱心で、意見をくみ取ってくれる。少子化の今こそ、産み育てやすい環境を地域が自ら作り上げるチャンス」。園内あちこちから響く、子供たちの元気な声を聞きながら、長戸園長は力を込めた。
(松村智裕)

■石川県 小松市
 人口は約11万人。人口規模で石川県第3の都市。地域住民が育児にかかわる「ファミリーサポートセンター事業」など子育て支援策は多彩。満3歳になる年度当初から幼稚園入所を認める「子育て特区」にもなっている。


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