十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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 [2006.07.20]

バイオマス活用で事例など紹介 − とかちバイオマスWEEK2006 
 第31回国際農業機械展in帯広(13−17日)の記念シンポジウム「バイオ燃料の未来と十勝−京都議定書第1約束期間を2年後にひかえて」(農業機械学会道支部、NPOあうるずなど主催)が14日、帯広市内のとかちプラザで開かれた。バイオマスの有効活用策を探る「とかちバイオマスウイーク2006」の一環で、行政関係者や大学などの研究者、企業実践者らがバイオガスプラントやBDF(バイオ・ディーゼル燃料)などの取り組み事例を発表。パネル討論では、講演者と参加者らが、バイオマス利用の拡大に向けて活発に意見交換した。4氏の講演の概要を伝える。
(小林祐己、寺田祐子)

経済産業省石油流通課 土屋武大氏
安定供給と経済性重要

■バイオマス燃料に係る経済産業省の取り組みについて
 日本は京都議定書目標達成計画で、2010年度までに原油換算50万キロリットルのバイオマス由来燃料の導入を掲げる。輸送燃料としては、サトウキビなどが原料の「バイオエタノール」、エタノールとインブテンから製造されるガソリン添加剤「ETBE」、軽油代替の「BDF」の3つがある。
 バイオエタノールは日本ではガソリンへの3%混合(E3)が認められている。しかし、流通段階でのインフラ整備の必要性や原料供給安定性の理由から、一部での実証的利用に限定されているのが現状だ。
 経産省は今月中にも製造・流通の実証試験の結果をまとめる予定。ETBEは、石油業界が2010年度に、ガソリンに7%混合で年84万キロリットルの導入を目指す。安定供給と経済性のほか、自動車側の対応も必要になる。
 BDFは品確法の軽油規格の改正を行い、BDF混合軽油の規格を追加する。混合上限5%の案を提示、今年度中に施行を予定。100%の規格も策定し、将来的にJIS規格にと考えている。


鳥取環境大教授 合田素行氏
社会経済として考える

■バイオガスプラントの現状と展望
 家畜ふん尿は農家が処理に困っている。プラント導入でエネルギーが出る。化石燃料100%社会からの脱却に寄与できる。環境面、農業政策、エネルギー政策でもいいことばかりとなる。
 しかし、実際にプラント導入となると、問題がある。消化液の処理問題、エネルギーの有効利用など、技術は未熟でないが、コスト、安定性で十分にみんなが使える状態にはなっていない。
 欧州では農業、環境、エネルギー政策が三位一体で機能している。日本では全国の大半が実験的なもの。地域の農業、環境、エネルギー政策にリンクした社会政策が必要だ。また性能やコスト、原料などについて、地域の人に情報が共有されていない。
 運転経費の問題などを政府に要望しながらも、単なる新しい技術だというだけなく、社会経済としてもう一度考える必要がある。十勝の中で、プラントを単なる施設の採算面だけで考えるのでなく、地域の文化、環境保全などと結びつけて考えてこそ、あとひと押しができる。


東北大教授 両角和夫氏
転作休耕田で原料生産

■わが国における米のエタノール燃料化への課題
 アメリカは、ブラジルに次ぐバイオエタノール燃料の生産地で、その原料のほとんどが主要穀物のトウモロコシ。一大生産地帯の米中西部では、地域活性の手段として、トウモロコシによるエタノール生産に力を入れている。現在は、原油高騰の追い風もあって増産傾向にある。
 アメリカは、エタノールに対する1ガロン50セント程度の燃料税の優遇措置や、1ガロン6−20セントの製造業者補助を実施。特に後者は、製造業者の大半を占める、農民資本=新世代農協(NGC)が、地方銀行から融資を受ける担保として機能。雇用増進などの効果を上げている。
 一方で、わが国の水田面積は260万ヘクタール。このうち、米を作っているのは160ヘクタール。残りの100万ヘクタールは転作、休耕田で米を作れずにいる。
 もし政府が、100万ヘクタールの転作田でエタノール用の米を栽培する方針に切り替え、転作田への奨励金をエタノール米の費用補助に使えば、エタノール製造に回す原料米の価格引き上げにもつながると考える。


油藤商事専務(滋賀) 青山祐史氏
エネルギーを地産地消

■ガソリンスタンドはまちのエコロジーステーション
 一般家庭で排出されるてんぷら油や空き缶などをガソリンスタンドで回収している。お客様にとっては、いつでも資源ごみを捨てられる。経営側にとっては、ごみの排出が来店動機となり、販売促進につながる。全国4万8000カ所あるガソリンスタンドを資源ごみの回収拠点にすれば、面白い取り組みができるのではないか。
 回収した廃てんぷら油は、せっけんやバイオディーゼル燃料(BDF)にして、洗車に使ったり、車の燃料として販売している。大きな特徴は「地産地消」の考え方。「地域で作る地域エネルギー」がBDFの大きなコンセプトであり、これからも持ち続けたい。
 店内にある小さなプラントはほぼ毎日稼働しているが、回収量には限界がある。大手運送会社と連携して配送中にてんぷら油を集めてもらったり、社員食堂から出た油を提供してもらったりしている。価格や安全面の課題はあるが、滋賀県で始まった小さな取り組みを全国に発信し、広げていきたいと考えている。


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