十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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 [2006.04.19]
十勝でもてんぷら廃油燃料
事業化へ複数が名乗り 住民主導で仕組み構築へ

 てんぷら廃油を輸送用燃料(BDF)化するプロジェクトへの関心が十勝でも広がりをみせている。資源有効活用、地球温暖化対策や住民の環境意識高揚の契機になるとして全国的に注目を集める動き。更別の民間施設を核に複数の自治体が手を組み、地域住民主導の取り組みが進む。十勝圏振興機構などが進めるバイオエタノール3%混合ガソリン(E3燃料)プロジェクトと合わせ、十勝はエネルギー先進基地の様相を帯びてきた。(広田実)

 BDF(バイオ・ディーゼル・フィーエル)は、家庭や工場で発生する使用済み油を専用プラントで処理・精製して得られる燃料で、軽油代替となる。政府が3月末に示した、新たな「バイオマスニッポン総合戦略」でも明確に位置付けされ、国として事業化を強力に後押しする方針を打ち出した。

 回収ルートを確保する過程を通じて、社会的認知度がアップ、精製・利用に至るシステムづくりが成功のカギを握る。京都市を筆頭に全国で50以上の先行事例があり=表参照=、道内では滝川と札幌で進む。一方、ドイツでは年間80万キロリットル、フランスは39万キロリットルとけた違いの量のBDFを菜種、大豆などを栽培して得られた食用油から製造しており、日本はこの分野で後進国となっている。

 十勝では更別企業(為広正彦社長)が変換設備(日量600リットル)を所有。更別では既に保育所などを拠点に回収システムを確立済みで、同社の車4台はBDFを利用して走る。幕別は札内の一部公区で昨年末から廃油回収が始まった。豊頃でも回収を進めるほか、町有地を利用して菜種を栽培、食用で使用した後に燃料化する仕組みづくりを模索中だ。いずれも町村営リサイクルセンターなどで集約し、加工は更別企業に依頼する方向。

 一方、帯広では2005年度、国土交通省の地域再生モデル事業の指定を受けた、十勝エネルギーネットワークプロジェクト検討委員会(西崎邦夫委員長)を開催。行政、運輸会社、コンサルやホテル事業者ら約30人が参加して実現可能性を探った。同プロによれば、十勝の二酸化炭素排出量(年間470万トン)に対し、BDFによる削減量は同567トンと試算。削減効果は0.012%。

 今年度も組織は継続し、バス会社の協力を得ての事業PR、シンポジウムなどを通じて住民意識を高め、並行して廃油回収の仕組みづくりを進めていく。活動資金として、新たに補助金を得るための準備も進む。今夏、市内の北愛国交流広場で開かれる国際農業機械展では、BDF変換装置を展示、ゴーカートなどに給油、実際の利用を体験してもらうことを予定している。

 京都などの先進地と同様、BDFの原料を安定的に確保するためには、事業所と連携した大口の回収先確保がカギ。一般家庭からは年間数リットルしか出ないため、回収コストの面でメリットが少ない。ただ、活動を通じて自ら地球環境に貢献している実感を得られ、子供たちへの環境教育効果はかなり大きい。

 十勝でBDFの取り組みを現場段階でけん引する、為広社長は「道外の事例を見て分かる通り、行政がもっと旗を振ってくれると事業化に向かうスピードが早まる」と指摘。現状では廃油の処理費が1リットル当たり65円程度を要しており、さらなるコスト削減とともに、新たな付加価値創出の仕組みづくりも急がれる。


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