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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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広がるBDF利用
回収システム構築がカギ
廃てんぷら油が“地球を救う”
[2006.12.14]
ナタネ、ヒマワリの輪作化も

 「環境に優しく、再生可能で持続できるエネルギーは魅力。営農や経済活動で地域循環できる」。十勝管内でも広がりを見せつつあるBDF(バイオディーゼル燃料)について、精製・販売を手掛ける更別企業の為広正彦社長は期待を寄せる。

帯広で年32万リットル
十勝農試で実施したBDFを使ったトラクターの稼働試験(11月)。BDF(右)は軽油(左)と遜色(そんしょく)ない性能を示した
 軽油代替燃料として注目されるBDF。「てんぷら油が地球を救う」を合言葉に十勝エネルギーネットワーク(委員長・西崎邦夫帯広畜産大教授)が普及・啓発に努めるなど、管内でも乗用車や農業機械への利用・研究が進んでいる。

 同ネットは家庭の食用廃油を1世帯平均年間4リットルと試算、帯広市内約8万世帯からは32万リットルが排出される計算だ。現在は、ごみとして捨てられる廃油を再利用するため幕別と帯広に回収容器を設置、同ネットに参加する更別企業が精製し、研究機関などで使っている。

 10月から自由ケ丘温泉(帯広)に置いた容器からは既に200リットルを回収。今後は、同ネットが1リットル当たり5円を支払う契約を地元町内会と結ぶことも想定。町内会側にも地域活動費の充当という利点が生まれる。

 この取り組みは市民の関心を集め、11月30日の市町内会連合会の理事会でも話題に。同連合会としての検討を提案した南町連合町内会の山田一郎会長は「資源をリサイクルするため、できる部分から取り組みたい」と話す。帯広市も支援方法を模索する考えだ。

月平均6千リットル
 今年5月からBDFの販売を開始した地球防衛商店(帯広市東2南14、笠井大店長)。月平均6000リットルを扱い、登録車両は150台に達する。バイオマスはカーボンニュートラル(炭素の相殺)の考えから温室効果ガスの増減に影響せず、軽油からBDFに乗り換えることで月10トン前後の二酸化炭素排出量を削減。「環境負荷を減らすために、今ある物をどう使うかが大切」と笠井店長。

 「課題は家庭や飲食店から出る廃油の安定回収」。関係者は口をそろえる。さらに、回収とともに重要になるのが、原料となるナタネやヒマワリ栽培の普及、拡大。これらは、農業の付加価値を高める効果も期待されている。

すべてナタネで
 道立十勝農業試験場(芽室、菊地治己場長)は、30ヘクタールの畑作農家がトラクターなどで消費する年間燃料を6000リットルと試算。これは4・5ヘクタールのナタネ栽培で、すべて賄えるとしている。11月に初めてBDFトラクターの走行試験を実施。来年度は年間を通して稼働させて馬力や燃費を調査し、ナタネの効率的な生産体系などを検討する。

 「輪作体系にナタネやヒマワリを入れ、種から油を搾り、残りは畑にすき込んで緑肥にする。景観向上にもつながり、地域の魅力が高まる」。西崎教授は畑作5品目になり得る可能性を強調する。

 自家栽培したクリーン燃料で営む農業。そんなシステムが、十勝で実現する日が来るかもしれない。
(池谷智仁)

 <BDF>使用済みてんぷら油など植物性油にメタノールを加えて精製し、ディーゼル車両に利用できる燃料。原料となる植物が成長過程で二酸化炭素を吸収するため、京都議定書では燃焼時に発生する温室効果ガスは排出量に換算されない。
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