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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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エタノール国際事情
米、ブラジルで世界の7割製造
優遇施策、普及を後押し
[2006.12.12]
輸入依存は環境効果半減

 「世界の大半を生産するブラジルとアメリカはさすがに原料生産規模が大きく、工場の処理能力も格段に高い」

 今年3月、ブラジルと米国のバイオエタノール事情を視察した独立行政法人農畜産業振興機構(alic、東京)の加藤信夫情報調査部長は、そのスケールの大きさに圧倒された。

石油危機契機に
ブラジルのガソリンスタンド。優遇措置のあるエタノールはガソリンより価格が安い(農畜産業振興機構提供)
 1930年代からサトウキビが原料のエタノールをガソリンに混合してきたブラジル。国策として取り組みだしたのは70年代の石油危機以降だ。高騰する原油の輸入を抑え、自国産業を振興するのが目的だった。

 現在はガソリンとの混合率20%(E20)と100%エタノール(E100)がスタンドで給油可能。さらに、エタノール燃料への優遇税制もある。E3が上限で優遇措置など無い日本とは雲泥の差だ。

 もう一方の大国・米国も、州によっては販売するガソリンに対して一定量のE10やE20の導入を義務づけている。さらに優遇税制や工場建設費補助、原料のトウモロコシへの価格支持などを展開。原料生産者、エタノール製造者、消費者それぞれがメリットを感じられる支援策を講じて急速に普及を進めている。

 「中東への石油資源の依存率を下げるエネルギー安全保障の観点と、国内農業保護の両面があった」。10月に大穀倉地帯・米国中西部のエタノール事情を視察した十勝圏振興機構(とかち財団)の有塚利宣理事長は米国の意図について語る。同国では、スタンドなどのインフラが原料生産地に近い中西部でまず発達、現在は両海岸の大消費地での利用拡大に力を入れている。

不安定な市場
 一方、エタノール輸出量は、全世界の生産量のわずか7%(約310万キロリットル)。輸出の77%のシェアを持つブラジルでさえ「基本的に内需型。工場では相場を見ながら砂糖とエタノールの製造量を調整している」(加藤部長)状態だ。

 ブラジルは昨年、原油価格の高騰やサトウキビの不作、E100対応の「フレックス車」が市販車販売台数の5割を占めた−などの要因が重なり、エタノール不足が発生した。世界のエタノール事情を分析したalicのリポートでは「エタノールの世界市場は不安定」と指摘している。

自給は1割
 京都議定書の目標達成に向け、日本でも動きだしたバイオ燃料の導入計画。政府は「2010年度までに輸送部門で50万キロリットルの導入」を目標に掲げたが、現時点では国内生産目標はわずか5万キロリットル。大半はブラジルなどからの輸入を想定している。

 だが、化石燃料を消費して遠い外国からエタノールを運んだのでは、温室効果ガス削減の環境効果は半減だ。この矛盾を解消するために、今後、国産自給率を高めることが必須の条件となる。管内のある農業団体関係者は「1.5万キロリットルで国内最大規模の十勝の実証プラントも、実用化となれば規模を倍以上にする必要が出てくるだろう」と指摘する。十勝が担う役割は重い。
(高田敦史)

 <世界のエタノール生産量>2005年で年間4487万4600キロリットル。ブラジルと米国のシェアがともに36%でこの2国で7割以上を占める。次いで中国8%、EU6%、インド4%−の順。
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