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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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管内産エタノール
実用化試験、十勝が舞台
豊富な資源に熱い視線
[2006.12.11]
農産物の新たな需要先にも

 「国家規模で環境対策が進む中、農業大国・十勝だからこそ先鞭(せんべん)をつけて取り組む意義がある」。十勝産の原料からエタノールを製造する試験に本格着手した十勝圏振興機構(とかち財団)の有塚利宣理事長は、こう語る。

 農業が盛んな十勝には、植物由来のバイオマス資源が豊富だ。数年前から、同財団を中心にバイオエタノールの実用化研究が続いてきたが、来年以降、国全体の方向性に合わせて、その取り組みは様変わりする。

50万キロリットル導入
試験プラントの説明をする四宮研究員(左)。手にするのは規格外小麦のエタノールで、発酵したパン生地に似た甘い香りがする
 政府は4月、輸送部門で2010年までに、バイオ燃料を年間50万キロリットル導入する目標を掲げた。これはエタノール3%混合(E3)ガソリン換算で国内消費の3分の1に当たる膨大な量。二酸化炭素などの排出削減目標を定めた京都議定書の目標達成に、待ったなしの状況に追い込まれたことも背景にある。

 農水省はバイオエタノール5万キロリットルを自国生産する方針。全国3カ所で想定している1万5000キロリットル規模の実証プラントのうち、最初に決定したのは十勝。他の2カ所は、原料調達などに難題を抱え、候補を絞り切れていない。

 実証プラントは、道内の農業団体が国費補助を含め約50億円を投じ、清水町のホクレン清水製糖所内に建設する。原料はビートと規格外小麦だ。

 芽室町に国内最大の製糖所を構える日本甜菜製糖(小笠原昭男社長)も、ビート・エタノールの調査、技術開発を進める。高い農業生産力を背景に、関連産業に技術や経験が蓄積されている十勝が、国産バイオ燃料の方向性を左右すると言っても過言ではない。

余剰物の行き先
 エネルギー分野に農作物を利用する動きは、環境問題だけでなく、農業生産自体にも深くかかわりそうな気配だ。

 十勝の主要畑作物は、WTO(世界貿易機関)体制下で、今後、より厳しい国際競争にさらされる。エタノール振興は、関税引き下げや生産調整で行き場を失う農作物の新たな需要先としての可能性を持つ。「環境保全を主眼に置くバイオ燃料は、十勝農業の持続的発展を保障する」(有塚理事長)とみられる所以(ゆえん)だ。

 「ようやく目標の7、8割まで到達した」。同財団で研究を担当する四宮紀之研究員は、エタノール製造の難しさを実感してきた。酵母という微生物の力を借りる国内でも前例のほとんどない取り組み。ほぼ手探りでスタートし、「70−80種類の酵母から候補を絞り出せた」(四宮研究員)。目下、理論値に近い結果を安定的に出すための反応条件を探っている。

 走りだした十勝には、これまで以上に熱い視線が注がれる。
(高田敦史)

 <バイオエタノール>植物などの生物資源から製造。燃焼で出るCO 2は成長過程で固定したもので、化石燃料と違って地球表面上のCO 2を増やさないクリーンエネルギー。とかち財団の試験では、1サイクル3日(糖化・発酵に2日、蒸留に1日)のペースで、100リットルの原料から10リットル弱のエタノールができる。
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