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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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携帯電話端末
希少金属 回収進まず
[2006.11.27]
ショップで回収された携帯電話。生活必需品となった端末内部には金や銀など希少な資源が眠っている(金野和彦撮影)
 環境意識の高まりを受けて各分野でリサイクルが進む中、回収率が減少している製品がある。それは、携帯電話。カメラやメールなどの機能向上に伴い、買い替えで通話ができなくなっても、手元に置き続ける消費者が多い。

 今や生活必需品となっている携帯電話端末には、金や銀、銅など希少金属が含まれている。電気通信事業者協会(TCA)によると、携帯電話6万6000台で金1キロが集まる。資源の有効活用を目指すメーカー側はリサイクルを呼び掛け、各ショップで回収を進めている。

 しかし、「思い出として写真やメール内容を残したい」「個人情報の漏えいが心配」など、携帯端末に愛着を持つ利用者の反応は鈍い。「何となく」という消極的理由で家庭の片隅に置かれている現状もある。「鉱物資源は未来永劫(えいごう)あるわけではない。家電リサイクル法のような立法措置も考えるべきだ」と帯広畜産大学の倉持勝久助教授は語る。

 利便さの象徴ともいえる携帯電話に組み込まれた眠れる資源をどう循環させるのか、取り組みが急がれる。


個人情報保護のため利用者の前で破砕される携帯電話。リサイクル率は減少し続けている(ドコモショップ帯広大通南28丁目店)
さらなる回収率低下に懸念
利便性享受する消費者にも責任


 TCAと情報通信ネットワーク産業協会に加入する大手通信事業者や携帯電話メーカーは2001年、「モバイル・リサイクル・ネットワーク」を設立。メーカーやブランドを問わず、全国の専門ショップなど約9300店で携帯端末や電池、充電器を無料回収している。

減少の一途
 だが、2005年度の携帯電話・PHSの本体回収実績は744万台と、2000年度の1361万台をピークに減少の一途をたどっている。

 「努力はしているが、第三世代携帯はICカードを入れ替えることで端末を使い回せる。リサイクル率の減少傾向は強まるのでは」。TCAの稲増文夫業務部長は危惧(ぐ)する。携帯電話会社を変更してもそれまでの番号を使える「番号継続(ポータビリティ)制」が10月から始まり、さらに拍車が掛かる懸念がある。

 不用となった携帯は廃棄物処理会社に引き取られ、解体・粉砕して貴金属を回収。2次処理で液体にして銅やニッケル、コバルトなどを取り分ける。精錬過程で発生するスラグ(非金属生成物)は路盤材や消波ブロックなどに利用される。

部品の再利用も
 最近は、携帯電話部品自体のリユース(繰り返し使用)を行う企業も登場。液晶部分やバイブレーターを取り出し、車載バックモニターやドアホンなどへの利用を進めているコネクトリプロ(東京)は「携帯端末は世界に類のない高品質な部材を搭載している。十分にビジネスが成り立つ」と説明する。

 「漏えいへの不信感や新しい携帯電話への引き継ぎなど、情報の扱いが最も重要」。環境科学が専門の帯畜大の倉持助教授は指摘する。

 同ネットワークが今年、利用者に行った意識調査では、携帯端末を手元に置く理由として「コレクション・思い出として残す」が最多の40%。電話帳やデジカメ用途などを挙げる人も多く、「個人情報の流出」を懸念する意見も15%に上った。

 ドコモでは利用者の目の前で端末を破砕し、個人情報保護を徹底。KDDIも携帯内の情報を一度に消去できる機能やデータバックアップを充実させるなど、利用者の不安軽減を図っている。

 情報化社会に不可欠な存在の携帯電話だが、科学技術の進展が資源循環を阻むという一面もある。利便性を享受する消費者は何を果たすべきなのか。真剣に考える時期が来ている。
(おわり、池谷智仁)

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