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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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食品残さ(清水町 旭山学園)
残飯を発酵、養鶏飼料に
[2006.11.26]
容器いっぱいの野菜くずなどが機械に投入され、70−80度の高温で発酵が進むと、約6時間後には養鶏用肥料が誕生する(清水旭山学園、折原徹也撮影)
 「ほとんどが食べ残し。ものすごい量ですよ、ご飯なんか」。大きな容器にたっぷり入った真っ白なご飯、野菜くずなどが次々と機械に投入されてゆく。清水町の社会福祉法人「清水旭山学園」では、毎日4トンの生ごみから2トンの養鶏用発酵飼料が作られている。

 生ごみは、スーパーや帯広市給食センター、自衛隊、十勝川温泉の7旅館などから毎朝集められる。飼料はニワトリ約7000羽に与えられ、卵、肉のほか、1日約40−50キロ出る鶏ふんを使って栽培した無農薬・有機野菜が再びスーパーなどへ送られている。

 残飯の容器などを洗った水も園内で浄化し、機械の余剰熱によるお湯としての利用、ミニトマトの水耕栽培も行われている。学園理事の鳴海孟施設長は、「残飯のおかげで回り回って良い食材がとれる。園内全部がリサイクルになっています」と循環の輪を説明する。


減らすには食生活の見直しも
不十分な減量・再生への対策


 清水旭山学園が食品残さのリサイクルを始めたのは10年前。施設内の生ごみ処理に悩んだのが事業のきっかけだった。

燃料にもムダなく
 食品リサイクル事業を考える人など大勢が見学に訪れる。園内の循環を見た農家には「農業としてもこれが理想だ」と言ってもらえた。鳴海施設長は「食料を再生し、燃料もムダにしない。再生というと車や廃プラスチックをイメージするが、食料こそ再生させなければ」と強調する。

 学園の事業開始から遅れること5年の2001年、「食品リサイクル法」が施行された。国は06年までに食品関連事業者の再生利用など(抑制含む)実施率20%達成を目標にしている。だが、最終年度の今年、鳴海施設長は言う。「いまだに生ごみをどんどん燃やしている。リサイクルに程遠い現状だ」

取り組みに遅れ
 日本全体の生ごみの量は国の推計で年約1900万トン。うち食品産業(製造、卸・小売、外食)からは1136万トン(04年度)。法律はすべての食品関連事業者が対象だが、農水省は今年10月、「05年度時点で達成した事業者の割合は18%。過半で十分な取り組みがされていない」と分析した。

 食品製造業では肥料・飼料化が進み、実施率は72%(04年度)。しかし食品流通の「川下」ほど実績は低く、外食産業は17%。利用先という出口が必要なリサイクルの事業化のハードルは高く、多くの生ごみがまだ焼却・埋め立てされている。

 しかし、全国の登録食品再生事業者は43社(10月現在)あり、全体の実施率は上昇傾向。国は現在、課題となる中小事業者の再生利用促進のため、発生抑制を優先した施策や、市町村処理施設を活用したバイオマス利用なども検討している。

どうする家庭系
 食品リサイクルのさらなる課題は、年1000万トン近いと推計される家庭の生ごみ。国試算の家庭系生ごみの再生利用率はわずか1・8%だ。

 肥・飼料化、炭化、メタン利用など再生処理施設を持つ自治体もあり、生ごみ処理機購入を助成する自治体も約65%に上るが、やはり焼却・埋め立てが中心。焼却処理する帯広市は「施設や新たな収集体制となると経費もかかる。リサイクルより、まずは排出抑制による減量が大切」と話す。

 再生利用を探りながらも、まずはできるところから。大量の食べ残しを前に、鳴海施設長は「50年前の食料水準に下げると自給率も100%と言われる。食生活そのものを見直すことも大切だ」と話した。(小林祐己)

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