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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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使用済み自動車
1台の88% 再び資源に
[2006.11.25]
使用済み自動車のマフラーなどが部品別に取り除かれていく解体工程(エルバ北海道。山下僚撮影)
 「ガキッ」「メキメキッ」−。油圧アームで自動車を挟む鈍い音が工場内に響く。次の瞬間、くるりと反転した自動車の底面が現れると、作業員が油圧カッターで手際良く部品を切断する。

 中古販売可能な部品を外した車体から、さらに資源として使える鉄素材などを取り外すのに必要な時間は、1台わずか10−15分。この工程を経た後、車体は別工場で裁断され、比重の違いを利用してさらに素材別に選別され、再び金属資源として流通する。

 道内リサイクル業大手のマテック(帯広市、杉山博康社長)グループ。再利用が難しい裁断後のシュレッダーダスト(ASR)を比重差で分ける独自技術で、重量比80%だった再資源化率を88%まで高めた自動車のリサイクル業界のトップランナーだ。

 主に解体を行う系列企業・エルバ北海道(同、同)には、道東全域から年間約1万台が集まってくる。張江英敏統括部長は「メーカーごとに異なる素材が統一できれば(リサイクルの)作業はよりスムーズに進む」と、メーカー間の協調体制がリサイクル率向上のカギを握ると指摘する。


裁断機の投入口へと移される自動車。裁断後、磁力で金属を取り除いて残るのがシュレッダーダストとなる(マテックで)
再資源化 メーカー連携もカギ
スクラップ業者間で車獲得競争


 国内で年間400万台出る使用済み自動車は、中古部品や鉄スクラップの市場に流れ、従来から重量ベースで約80%がリサイクルされていた。

不法投棄が増加
 しかし、鉄市況の低迷と、最終処分場の窮迫によるシュレッダーダスト(ASR)処分料の高騰で、その仕組みが機能不全となり、車の不法投棄が目立ち始めた。「大量の車を山積みしたまま突然姿を消す業者もいた」と張江部長。こうした事情から、2002年に自動車リサイクル法が制定(05年1月施行)された。

 自動車は刻印されている車体番号で処理の全工程を追跡しやすい。同法では使用済み自動車のリサイクルを義務づけ、(1)フロン類(2)エアバッグ類(3)ASRといった再利用しづらい「特定3品目」の処理費を自動車所有者が負担。鉄市況が変動しても、業者の利益とは関係なく3品目を確実に処理できる体制を築いた。

 しかし、資源循環の側面でみると、やっかいなのがASR。主要部品を取り除いた後に残るプラスチックやスポンジ、樹脂などが交ざり、素材別の分別が困難だからだ。「車重の1割あるかどうか」(張江部長)だが、同法の目標「15年までに重量ベース95%のリサイクル率」の達成には、ASRリサイクル率を70%以上に高める必要がある。

独自の技術で
 そこでマテックでは、素材の比重差を利用してASRを分別する技術を開発。帯広で出たASRを石狩市の工場で分別し、40−45%のリサイクル率を実現した。「法で定める10年までに50%が当面の目標だ」(張江部長)。

 メーカー側も、簡単に外せる一体型配線を採用したり、水銀など環境負荷物質を削減するなど取り組みを進めている。しかし、各メーカーが独自開発する部分が多く、「業界横断的な連携が次の課題」(行政関係者)とされている。

 また、中国の好景気を背景に鉄市況が高騰。中古車や廃車の引き合いが強まっている。マテックの高林聡取締役は「施行前の駆け込み処理の影響もあるが、当初の想定より車の流れが悪い」と明かし、「業」としてのリサイクルを維持するため、スクラップ業者間の自動車獲得競争が激化していると話す。

 こうした中、一部でリサイクルの流れに乗せずに鉄スクラップを輸出する違法業者もある。経産省では「制度の確実な運用に違法業者の排除が不可欠」とし、来春以降、取り締まりを強化する方針だ。
(高田敦史)
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