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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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レンタル食器(山梨県増穂町)
定着したデポジット
[2006.11.23]
デボジット方式で名物「ほうとう」を振る舞った増穂まつり(11月12日)
 「イベント終了後に山積みとなる発泡スチロールのおわんを何とかしたいと思ったのが事業のきっかけ」。リユース(繰り返し使用)食器レンタル事業を立ち上げたNPO法人スペースふう(山梨県増穂町)の永井寛子理事長は、取り組みの動機についてこう語る。環境への配慮を目的に、同事業をビジネス化しているのは全国唯一だ。

 同町で最大のイベント「甲州増穂まつり」が12日に開かれた。メーンイベントは名物「長寿ほうとう」の大釜ゆで。3000食を提供する中で活躍したのが、デポジット(預かり金)方式のリユース食器だった。

 食べた後におわんとはしを返却すれば、預かり金100円が返却される。5年目を迎え、来場者がごく自然に、デポジットを実践していた。この取り組みは、省資源に対する意識醸成を目指す同町の「エコ・イベント開催要綱」を定める契機となった。


120万個の食器ごみ減量
利便性追求の悪循環断ち切る


 「一度使っただけの食器が焼却され、有害物質を排出する。利便性のみを求めた生活スタイルが深刻な環境問題を引き起こす悪循環は、断ち切る必要がある」と永井理事長は強調する。

 NPO「スペースふう」が貸し出すのはポリプロピレン製の皿やおわん、カップ、ハシ、スプーンなど10種類ほど。

 地元のサッカーJリーグ1部・ヴァンフォーレ甲府のホーム試合が行われるスタジアムやライブハウスなどのイベント、甲府の映画館では毎月第1、3日曜日に「エコシネマプロジェクト」として飲食にリユース食器を使う。

帯広でも検討
 活動は県内にとどまらない。今年10月、福島県郡山市で開かれた日本青年会議所(JC)全国会員大会でも約3万セットが使われた。来年の帯広開催でも導入を検討中だ。「環境に優しい帯広・十勝を発信したい」と関係者は意気込む。

 利用状況は昨年の約250件が、今年は倍増の勢い。「2003年9月から今年10月までに延べ120万個の使い捨て食器ごみを減量した」と胸を張る。

 山梨大学が、紙コップをリユースカップに置き換えた際の環境負荷軽減効果を評価した。その結果、「6回以上の使用で負荷は紙コップを下回り、20回以上だと2分の1以下になる」と分析。使い捨て食器に比べて、ライフサイクルアセスメント(LCA)の面で優れていることを裏付けた。

モデル事業に
 一連の取り組みは地元企業、デザイン団体などが支援し、03年と05年には経産省の環境コミュニティービジネスモデル事業にも採択された。地元役場は「民間主導で事業化に成功、地域活性化にも一役買ってくれた」(産業観光課)と話す。

 05年度には、理念に賛同する4団体(岩手、東京、鳥取、福岡)が加わって「リユース食器ふうネット」が設立。輸送コストの無駄を省きつつ、活動を広げる素地もできつつある。

 永井理事長は「歩みは少しずつでよい。着実に1人でも多くの人が環境意識を改めるきっかけになれば」と期待する。山梨県の人口1万数千人の町から始まった挑戦は、さらに大きなうねりを巻き起こす気配だ。
(広田実)

 <LCA>原材料調達から製造、運搬、廃棄まで、製品の「一生」における環境負荷を総合的に評価する手法
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