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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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市民活動


大切な子供への環境教育

体験学習の場を自らつくる
 [2006.06.26]
 「ちょうど1週間前に20周年を祝ったところです」。ハイデ・ベルクマン館長が笑顔で迎えてくれた。フライブルク市中心部からトラム(路面電車)で約5分、湖を囲む緑豊かな公園に建つ「エコ・ステーション」は、ドイツ最大の環境団体「BUND(ブント)」が運営する環境教育施設だ。

生活の中で何が
「日本人も含め外国人がボランティアや視察で来て実践の輪が広がるのがうれしい」と語るベルクマン館長
 「環境保護について、毎日の生活で実際に何ができるかを人々に示す場所なんです」。屋上緑化され、太陽光発電を備える建物はエコ建築のモデル、外には有機栽培の農園がある。年に1万2000人が来場し、省エネや新エネルギー、ごみ節減を考える子供や市民向けセミナーなどを開催。昨年は州内の学校から220クラスが体験学習に訪れた。

 エコステーションは1986年設立。運営費は年約3000万円で、州と市が60%、残りをブントとスポンサー、寄付などで賄う。正職員は2人しかおらず、非常勤や市民ボランティアが活動を支えている。

 「子供たちはここに来るととてもはしゃいで、観察に熱中します」とベルクマン館長。昨年から近くの小学校と契約し、昼休みの1時間、児童たちが野菜作りや自然観察に通う新たな取り組みを始めた。

 ステーションの環境教育で重視するのが、「五感を使った体験」。農園には薬草や野菜畑、小さな池、ハチの巣箱、コンポストなどがあり、子供たちは自由に土に触れ、薬草のにおいををかぎ、野菜を味わい、「自分で学ぶこと」を学習する。

行政を待たずに
 「行政がやるのを待つのでなく、市民から行動を始めることが大切です」。ステーションは市と市民団体、先生と子供たちなどの定期的な円卓会議の場となり、ごみ問題などが議論される。92年の地球サミットで採択された持続可能な社会への行動指針「アジェンダ21」の市計画に基づき、市民協働で湖浄化活動にも取り組んでいる。

 「でもフライブルクは特別。自然が残り、市民の環境意識が高い」。ベルクマン館長は語る。「人々は車を2台、電化製品を持ち、高水準の生活をしている。私たちが持続可能な社会を持てるのか、私は懐疑的だ」

 それでも行動を始めることが重要だと考える。「子供の時からの教育がとても大切。人が集まって活動すれば、変えていけることをここの活動が示しています」
(小林祐己)

 <ドイツの環境市民活動と政治>ブント(ドイツ環境自然保護連盟)は1975年に設立。全16州に事務所を持ち、会員数は39万人。高い専門性で国の環境政策に影響を持つ。国政では自然保護や反原発運動の中で80年に設立された「緑の党」が、98年から2005年まで連立政権に参加。再生可能エネルギー推進政策などが実現した。
エネルギー獲得の発想転換

啓もう、技術指導の民間協会
自治体、地域から賛同続々
地域に電力供給
 オーストリアとの国境に近いバート・ヒンデランク村。小学校の屋根裏に案内され、「ここからのぞいて」という天窓から首を出す。雪を抱くアルプスの山々を背景に、屋根一面に太陽光発電パネルが輝いていた。

 パネル約210平方メートルで地域に電気を供給する。「住民たちが出資して、学校が屋根を貸しているんだ」。小規模水力発電も数多く持つ村では、将来的に新エネルギーによる100%電力自給を目指している。

 2030年に先進国は完全に再生可能エネルギー利用に転換、48年には途上国を含む世界中が新エネルギーで回る−。「シュツットガルト・ソーラー協会」のホルガー・グリムラス氏が作成した、世界のロードマップ(行動計画)だ。

バート・ヒンデランク村の小学校の屋根に設置された太陽光パネル。164枚で地域に電力を送る
30団体設立支援
 「エネルギーをどう得るかの発想を変えるのが協会の目的」。70年代後半に太陽光エネルギーの将来性を確信したグリムラス氏は、技術の研究を始め、84年に同協会を設立。新エネルギー思想の啓もうと、具体的な技術の提供、指導を続け、太陽光などに取り組む30団体の設立を支援した。

 アフリカなどの電気網が未整備な地域でのソーラー普及も行う。スポンサー企業を含め国内会員数は200。「活動するからには目標が必要」と立案した「世界を変える」ロードマップには、国内外の50自治体・地域が賛同を表明している。

 「考え方を変えるには子供から」と青少年活動を行う市民団体が入るブント支部の建物に事務所を置く。現在58歳、記念すべき48年にちょうど100歳となるグリムラスさんは、「19歳のおいが『おじさんの跡は僕が継いであげるよ』と言うんだ」とうれしそうに笑った。

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