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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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都市交通計画


路面電車中心に脱車社会

便利な定期券で利用を促進
 [2006.06.24]
車少ない中心街
 歴史を感じる古い石造りの建物が並ぶフライブルク市旧市街。トラム(路面電車)を降りて、石畳の道にいすを並べたカフェで一休みした。買い物なのか人々が楽しそうに行き交い、自転車が走り抜ける。店の前ではギター演奏が始まった。

 車はめったに来ず、誰もがゆったりと、自分のペースで街を楽しんでいるのを感じる。市中心部の旧市街約600平方メートルは1973年に交通規制を取り入れ、今では全面が自家用車乗り入れ禁止。代わりの足がトラムであり、自転車なのだ。

トラム(路面電車)が住民の足となるフライブルク市中心部。自家用車乗り入れは制限され、自転車や歩く人たちが街の主人公だ
 第2次世界大戦で、同市中心部の大部分はがれきに。再建にあたり、人々は車社会に対応した近代化でなく、「新しい考え方による古い街並みの再現」を選択。トラムを中心とした「コンパクト・シティ(小型都市)」を目指してきた。
 

 「戦後多くの町が廃止する中、市は中心部のトラムを残した。とても賢明な選択だった」。市都市計画局のヴルフ・ダーゼキング局長は語る。

 「都市計画の中心にトラムがある。郊外の人は『パーク・アンド・ライド』(駅の無料駐車場)に車をとめ、トラムで街に入る。中心部の駐車料金を高くし、公共交通の利用を促進している」。

年7千万人利用
 バスを含む市交通株式会社の全路線利用者数は、87年の約3660万人が2003年には約7000万人に増加。市の交通利用調査によると、車利用者は76年の60%が99年には37%へ減少、公共交通機関は22%が25%と増えている。

 利用を促進したのが、91年導入の「レギオカルテ(地域定期券)」。同市を含む周辺3地域の17交通会社(90路線、約2850キロ)が乗り放題で、大人料金は月41.5ユーロ(約6100円)。無記名のため貸し借り自由で、家族用の5人券などさまざまな種類がある。

 各社の運営状況を尋ねると「乗客収入で経費の83%を賄い国内最高だ。ドイツの平均は60%以下」という。赤字分は市や州が補てんする。路線建設費は国が85%を補助、財源は燃料税だ。アウトバーンで有名な「自動車王国」の顔も持つドイツだが、車利用の傍らで、地域の足を守ることも忘れてはいない。
(小林祐己)

 <環境首都・フライブルク>ドイツ南西部バーデン・ヴュルテンベルク州に位置。面積150平方キロ、人口21万人、10万5000世帯。市は自転車利用も推進し、自転車専用道の総延長は約450キロ。環境に配慮したまちづくりを競うNGO主催のコンテストで92年に環境首都、04年には持続可能な自治体第1位に選ばれている。
  環境視点に住宅地再開発  

太陽光利用やカーシェアリング…
厳しいエネルギー基準を設定
屋根に太陽パネル
 トラム路線の両脇に、緑豊かな樹木帯に挟まれて、現代的外観の集合住宅が並ぶ。窓が大きく、屋根には屋上緑化やソーラーパネルが目立つ。住宅街の中は車乗り入れ禁止で、主要道路も時速30キロに制限されている。

ソーラーパネルを屋根全面に配したヴォーバン地区の住宅
 ここヴォーバン地区は、フランス軍駐留跡地約41ヘクタールを利用した同市再開発地域の1つ。人口約5500人。国基準より30%厳しい住宅エネルギー基準(65キロワット時・平方メートル)が適用され、消費電力以上に発電する「ソーラープラス住宅」もある。

 「太陽光やヒートポンプなど全て自然エネルギーで賄う。木材チップのコジェネで暖房熱を供給するため住宅は密集している」。ダーゼキング氏が説明する。1990年代にそこまで環境を意識した開発が行われたのに驚く。どんな人が暮らすのかを聞くと、「環境意識の高い人だよ」と言われた。

20台を“分乗”
 「カーシェアリングの利用者が多い。地区に20台ある」。街のアイスクリーム屋で店主のスペイン人、ホセ・バモン氏と話した。5年前に家族で地区に来たというバモン氏に、「環境先進地」の暮らしはどう?と聞くと、「電気代は安くていいけどね。何でも高くて暮らしは大変だよ」と笑って答えた。

 市内のカーシェアリングの事務所を訪ねた。民間の組織が運営する会員制。同地域を含む市内全域に車計80台を配置、会員は必要な時に利用できるシステム。入会費約5900円、月会費は590円で、小型車なら昼間基本料金180円、1キロ当たり36円で使える。

 会員数は現在2800人で、99年の設立以降毎年平均10%増という。「中には『この街で暮らしていて車の必要性を感じなくなった』と言って(カーシェアリングすら)やめる人もいます」という説明が印象的だった。
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