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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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ごみのリサイクル


高い資源化率、排出は激減

生活の中で自然に環境教育
 [2006.06.20]
にぎわう週末
 次々と車が止まる駐車場の前に、幅約2メートルの大きな緑のコンテナが並ぶ。コンテナにはごみの種類を示す札が掛かり、市民が古いいすや電化製品、枯れ木などの不用品を車から降ろし、投げ込んでいる。

 訪れたのはフライブルク市のリサイクルセンター。市内に3カ所あり、市民が自由に大型ごみなどを持ち込める。「土曜日が一番にぎわうけれど、平均1日350人ほどが来ます」と現場主任のへール・ガンター氏が説明してくれた。 

 親子が何やら探している場所は、まだ使えるものを置くスペース。「安い値段で持って帰れます。例えば本なら1冊50ユーロセント(約74円)」とガンター氏。子供用自転車から縫いぐるみまである。来場者は家族連れが多く、子供がごみを捨てるコンテナを探す姿は、生活の中の自然な環境教育の場だと感じた。

フライブルク市内のリサイクルセンター。週末には大勢の家族連れらが訪れ、大型ごみなどを捨てに来る
量は4分の1に
 ドイツは1991年に生産者と流通業者に包装廃棄物の回収とリサイクルを義務づける「包装材政令」を制定。96年にはごみの発生回避と抑制を最優先する「循環経済・廃棄物法」が施行され、容器や袋による家庭のリサイクルシステムが全国で行われている。

 日本は95年に容器包装リサイクル法を制定。生産者が再資源化の義務を負うが、分別回収、保管は市町村の責務だ。


 「88年に年14万トンだった市内の家庭・事業系ごみが2005年は3万5000トンに減った。リサイクルと生ごみの再生が要因」。同市エネルギー局長兼廃棄物処理部局副局長のクラウス・ホッペ氏は説明する。92年に25%だった同市のごみ資源化率は現在60%。単純比較は難しいが、帯広市は約27%だ。

 ドイツ政府はかつて「20年までにリサイクル率100%」宣言をしたという。「実現可能?」と聞いたところ、「ごみの発生回避が最優先だが、世界規模の市場からモノが流れ込む時代に完全にごみを避けるのは不可能だ。60%以上は難しい」との答えが返ってきた。

 一方、「どうしても出るごみ」をどう無害に処理するかが、今のドイツの大きなテーマになっている。
(小林祐己)

 <飲料容器のデポジット制>1991年の包装材政令で飲料容器包装材(ペットボトル、缶など)の再資源化率を72%に設定。2000年度に資源化率が63.8%に下がったため、03年には1.5リットルまでの飲料で約32円などのデポジット制を導入した。導入半年でリユース(再利用)瓶などの使用量は9%伸びた。
  ごみ出さない仕組み浸透  

列車でまとめて焼却処理場に運搬
施設、輸送のコスト課題に
直接埋め立て禁止
 焼却施設を持たなかったフライブルク市は2005年6月、近隣3行政区域と共同で建設した焼却施設を稼働させた。処理能力は年15万トン。2万1000世帯に電力を供給し、将来的に1500世帯分の暖房熱を供給する最新施設だ。

住宅街の一角に置かれたリサイクルコーナー。瓶などを色別に分別回収している。
 05年6月以降、ドイツは焼却または機械・生物的処理をしない家庭廃棄物の埋め立てを全面禁止した。環境保全とリサイクル推進が狙いで、再資源化、エネルギー回収されない廃棄物は30%以下を目標とする。

 問題は輸送コスト。施設は市から35キロ離れ、今年1月からごみを列車で運んでいる。「『近くの小さな村に迷惑がかからないように』と市議会が決めた。日に何十台も収集車が行くより、1、2列車で済む」。年約4億3000万円だった費用は、今は約5億9000万円に上昇した。

処理料アップ
 施設建設と輸送コスト上昇は市民のごみ料金にはね返った。05年は年129ユーロ(約1万9000円)だった4人家族の平均料金は、06年は204ユーロ(約3万円)に。「何で50%も上がったと議論にはなったが、これでも中間レベル。もっと高い自治体も多い」とホッペ氏は言った。

 同市のごみ削減キャッチフレーズは「ごみを減らせば料金も減る」。料金値上げで、再資源化率60%の数字はまだ上がるのではと思った。

 ドイツで最も感心したのが、ごみを出さない社会の仕組みだ。過剰包装や使い捨て容器は目に付かず、街角の総菜屋でその場で食べたいと言ったら、立派な陶器の皿に載せて出してくれた。住民の毎日の意識がごみ減量にどれだけ大切か、改めて考えさせられた。
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